2010/12/25

紀伊國屋書店 大阪本町店

 紀伊國屋書店本町店(大阪)に、「影響力の法則」「Power Up」の大看板を出していただきました。入り口近くには、「影響力の法則」コーナーまでつくっていただいています。本町店はビジネス街のど真ん中にあり、読者層がぴったり。刊行当初から熱心に売っていただいているお店です。佐藤店長、村山さん、そして売り場担当の高澤さんには、「影響力の法則」を強く後押ししていただいています。
絶対数では首都圏ですが、人口比だと関西の方が売れているかも。関西、大好きです!

関西の方には、ぜひ一度お立ち寄りください!
(税務経理境界の大坪常務から、本町店の写真を送ってもらいましたので、追加掲載します)

2010/11/14

叶匠壽庵

 叶匠壽庵をしったのは、叶匠壽庵をモデルにしたビデオ「にんげんだもの」を観たのがきっかけでした。22年前のことです。「にんげんだもの」は当時私がお世話になっていた会社の社長安森寿朗氏とイエローハットの創業者鍵山秀三郎氏が企画してつくった、商人の心を描いたビデオです。たぶん、社員研修で見せられたのでしょう。和菓子店の若い女性店員が、お客のために心を尽くした仕事をしていく。いろいろな葛藤を乗り越えて、それでも、顧客本位とはなにかを実践し、学んでいく、そんな姿を描いた泣かせるビデオです。20年心にとめていたものを、3年ほど前に思い出して購入し、今は手元に置いています。

 この和菓子店が、大津に本社のある叶匠壽庵と言われています。ビデオもさることながら、私のお菓子の個人的なベストは、叶匠壽庵の「あも」です。今日、その本社を訪ねることができました。大津の郊外の山のなか、本当に山なのです。その中の古民家を活かしながら、店を営業しています。もっとも叶匠壽庵自体は、全国の百貨店に出店する大手の和菓子店です。隣接する工場は近代的なものですし、古民家といえども庭やインテリアは実に手入れされ美しい。そして、里山には遊歩道が整備され、訪れる人は季節の花を愛でることができる。柚子と梅の林も見事です。

 ここで、2人の従業員と会いました。一人は、私たちの質問に熱心に応えてくれた女性でした。この人は本当に叶匠壽庵が好きなのだろうと思わせる熱心さで、ひとつひとつの商品を説明してくれました。実は、これと似た体験を、京都の百貨店でしたことがあります。でも、本当に商品をよく知っているので、これはビデオの主人公かもしれないと思い、顔が主人公に似ているかも、とおもってから、ビデオは俳優だったことを思い出し、苦笑したほどでした。
 そしてもうひとりは、駐車場のおじさんです。本当に駐車場のおじさん、おじいさんと言っていいかもしれないお年の方です。帰り道を訪ね、私たちが千葉から来たと知ると、「気をつけて、また来てください」と別れたのですが、その後、クルマを出口に向かわせると、駐車場の向こうから、その方が走って来るではありませんか。本当に走ってきたのです。そして私たちをとめました。何事かと、窓を開けると、これをみろという。私が撮った写真ですと。なんですか?これは、ちょうど門のところ、この季節11月半ばから12月半ばまで、西日が差す時間になると、門の脇にある瓶に西日が反射して、門に映る、きれいだろう、と言うのです。今日はあいにくの曇り空だったから、残念だったね。またそうそうは来られないだろうから、この写真を持っていけ、と言うのですよ。私は驚きました。驚いて何があったのか分からなかったぐらいです。そして、礼を言ってその場を辞しました。

 こんなこと、会社のマニュアルにあるわけがありません。たぶん、あのおじさんが自分で考えてやっているんだと思います。駐車場係がどれほどの給料をもらっているか知りませんが、どんな契約で働いているのか知りませんが、これがサービスというものじゃないでしょうか。実は、この人は社長なのじゃないかと思ったのです。社長がお忍び?で駐車場係をやっている、なんていいじゃないですか。それで、インターネットで社長の顔を探したところ、社長芝田清邦氏は駐車場係とは別人でした。ということは、やはりおそらくアルバイトの駐車場のおじさんが、こんなサービスができるなんて!この会社はどうなっているんだろう。感動した私は、とにかく事故無く家に帰ろう、そしてこれでお菓子は「あも」だけでよい、という気になっったのです。まあ、現実には他のお菓子も買うでしょうが、でも人に会うときかならず「あも」をもって、この話をするでしょう。ちょうどビデオのお客が主人公から受けたサービスに匹敵する体験を私はさせてもらったというわけです。

 帰り道は、本当に楽しいものでした。その途中、別の体験をしました。別の教材になっているあるレストランに寄ろうかと思って電話したのです。しかし、営業時間の狭間の休憩時間になってしまうのであけられないのです、ととても残念そうに応答されました。それで、一度は納得して受話器を置いたのですが(本当は携帯からですから、ボタンを押しただけ)、こちらが高速を飛ばして来たと知っての対応です。やはり何とも釈然としません。まして、その前に叶匠壽庵での体験があります。う〜んなんだろうか。思い巡らせながら、果たして、このような応対は、サービスの善し悪しではなく、ビジネスの根幹、あるいはその人の仕事のミッション(使命)によるものだ、と思い至りました。

 すなわち、「お客第一」を掲げるのは誰でもできるが、実際にその道を生きているかどうかが本当は問われるのであって、使命とは頭でひねり出すものではない。行動で示されるものだということです。京都で西本願寺を訪ね、親鸞聖人が日々生きる姿勢を説かれたことに触れました。毎日の生活、生きる姿勢が、自分を磨くカギである。その点で、ちょっとでも自分優先の態度をとってしまえば、使命は崩れ去ってしまう。電話の相手は、その点ちょっと至らなかったのかもしれません。しかし、一介の駐車場のおじさんが、商人の心、ミッションを生きているのです。やはりこれは単にサービスでなく、ビジネスであり、ミッションであり、仏道であると。

 こうして、今日も我が身を振り返り、恥じ入り、もっと前向きに取り組まなければ、と自らを叱咤激励した次第です。
 いい一日でした。

 叶匠壽庵 http://www.kanou.com/
 にんげんだもの http://tenbinnouta.com/

2010/10/23

若者の絶望

 NHKで「ミドルエイジクライシス」という番組を観ています。ミドルというより若い世代、みんな苦しんでいます。

 今期の授業で学生が「日本から脱出しなければならないから、外国語を学ぶ」といっていたのは、印象的でした。こうはっきり言う学生はいなかったけれども、いよいよ来たなあという感じ。でも、女性はこういって外向きで元気と言えるかもしれません。男子学生とも話してみたい。

 若者が希望と現実感を持って生きられるように、私たちの世代が手をさしのべないと。

2010/09/21

就職講座への違和感

 ニュースで雇用の問題を取り上げています。就職講座で既卒者の若者にビジネスマナーを教えています。

 これでいいんでしょうか?

 学生の本分は研究でしょう?勉強と言ってもいい。勉強しているというのは、分からないことに向き合う苦労しているということ。私は週1回大学に行ってキャリア講座を持たせていただいていますが、勉強している学生と、そうでない学生はだいたいわかります。勉強している学生は、問題意識があるから気迫を感じます。この気迫を採用側は見ていますよね。採用難なのかもしれませんが、採用されている人はされている。

 もちろん、力がある人が発見されていない現実もあり、残念に思っています。しかし、分からないことに向き合ってこなかった人がビジネスマナーなど学んでいることが、問題の本質の気がします。世界各国の若者が必死に勉強しているのに、遊んでいる学生は働く場所が無くなっていく。世界で競争なんじゃないか。そこで表面取り繕ったら、表面で生きていると思われて、裏目に出ると思うんだけれども。どうなんでしょう。

 繰り返しますが、若者の就職難を残念に思いますし、気の毒に思います。でも、若者自身と彼らを教育する側が、ビジネスマナーでなんとなるという考えを改めないと、この状況はしばらく続くでしょう。

 では、勉強してこなかった若者はどうするか。いまからでも、何でも難しいことに飛び込んでみるんじゃないか。われわれは、彼らを励ましていきたいと思います。

2010/09/20

自動車メーカーの心理学者

 日本心理学会大会に来ています。大阪は暑いです(汗)

 安全心理学と自動車の研究開発のシンポジウムはおもしろかった。日本自動車研究所などの研究所、メーカーの研究開発部門の研究者がそれぞれの取り組みを話されました。みなさん持ち時間を越えて話すので大幅に時間オーバー。みなさんの熱意を感じます。一言で言えば、ドライバーの認知心理学的、神経生理学的反応を理解し、自動車技術にフィードバックするというもの。たとえば、居眠り運転や出会い頭事故、高齢ドライバーへの対応がテーマのようです。自動車メーカーで心理学が活躍しているのに感心しました。

 うーん、会社によっても異なりますが、新しいデバイスで事故を減らそうというとき、どういう自動車にしたいのか、という理念が見えてこなくて、技術突出という気もしました。案の定、指定討論者からその点を突っ込まれ、自動車を操縦することの楽しみなど無視してよいのか、などと言われていました。すべて自動操縦になったら、クルマでなくてもいいですからね。個人的には、マツダにはXoom Zoom(自動車の楽しみを示すマツダのシンボル。パワーポイントの背景にもなっていました)を感じたのですが、彼だけが工学出身というのもなんとも言えないところ。心理学者はもっとクルマを知った方がいいのかも。

 その点、ヤマハの大本先生は自らバイクでテストコースに出て実験しており、さすがだなあ、と思いました。帰りのモノレールでばったりお目にかかって、少しお話しし、この方は社内で自分の立場をよく売り込んでいると思いました。社内に心理学者は一人だそうです。機械の世界で、きわめてマイノリティじゃないですか。そんななか、自分を活かすには、相手の世界に飛び込むしかないと思います。大本博士は自分でバイクも乗るし、船舶免許も持っていて実験していると笑っていました。これがカレンシーとなって、機械屋さんを動かせるんだと思います。

 特殊技術を持っている人を組織はどれだけ活かせるか。一方本人も自分を活かすことを必死で考えてほしいところ。研究者にも影響力の法則を活かしてほしいですね。

2010/09/10

強い自分

 居酒屋でビールを飲んでいたら、隣の席の若者の元気がいいのが印象的でした。「親父のボトルが入っている、もってきて」「代議士にいうこと聞かせてきた」「芸能人○○とは友達だ」。同席のちょっと年上の友人たちは、やや閉口気味でしたね。
 
 こういう言動が、否定的なカレンシーとなって、ゆくゆく彼の影響力を低下させていることを知ってくれたら、彼の潜在能力が社会に活かされるのになあ、と思いました。気をつけないとね。

ラグビーに恩

 NHKプレミアム8 という番組で、関東学院大学ラグビー部監督 春口廣氏のインタビューを見ました。春口氏といえば、関東学院を何度も優勝に導いた名将。早稲田の清宮元監督は、春口さんは教育者といってました。でも彼があんなに小柄だとは知りませんでした、156センチです。それで大男たちとラグビーやっているのに驚きました。日体大ではレギュラーだったそうですから。

 印象的だったのは、自分にはラグビーしかなかった。ラグビーのおかげで、小柄だというコンプレックスを乗り越えられた。だからラグビーには恩がある。恩返ししなければならない、といっていたことです。そうしてラグビーに集中してきたというわけです。

 恩を返そうという力はものすごく大きいですね。昔から親の恩を教えてきたのは、よく分かる気がします。本気で恩を返そうとする人は、力を抜かない。これはレシプロシティからしても納得がいきます。カウンセリングでは、内観法(内観療法)というのがあります。身調べといってお世話になったことを振り返り、カウンセラーに話すというものです。振り返るといっても、壁に向かって何時間もひとり人間関係を振り返るのです。内観もエネルギーがわいてくるのは、返そうとするからでしょう。ところが、恩を押しつけられると不愉快で抵抗したくなるところが、微妙ですね。

 春口氏の話でおもしろいのは、人じゃなくてラグビーに恩がある、という言い方。実は昨日の研修で、会社に恩があるといった方がいました。多くの人と巡り会えたのは、会社に感謝しているといわれるのです。春口氏も、他にできることがなかったといっていました。

 私たち、恩を感じるほど一つのことに向き合っていったら、強いことありますよね。でも今はいろいろな情報があって、目がくらみそう。若者たちにこそ知ってほしい世界だと思いました。みなさん、いかがでしょうか?

2010/09/02

民主党代表 選挙2

 昨日から大阪にいます。暑いです。東京よりも暑い・・・。でも、研修の参加者は元気ですね。やはり暑さになれているんでしょう。うまく適応できれば、たいがいの環境の変化にはなれてしまうものなんですね。

 さて、大阪でも連日例の代表選挙の話題です。昨日も食事に入った店のテレビが解説をしていました。音が出ていなかったので内容は分かりませんが、解説者の表情は「俺は知っている」という感じで面白かった。私も連日便乗です。

 各方面で菅首相が小沢氏に頭を下げたといわれていますが、本当にそうか、それはなぜか。
 今朝の新聞によると、菅氏の支持者と小沢氏の支持者は、数の上で拮抗しているようです。態度を決めていない170名次第とか。ではこの170名はどう考えるのでしょう?

 多くは小沢氏に恩がある。それをはっきり言う前首相のような人もいる。同様に小沢氏支持にまわりたい。あるいは、小沢氏を支持しなきゃ、と考えている。しかし、後援会は「小沢じゃだめだ」「首相をころころ変えるな」「グレーだぞ」などと言って、首を縦に振らない。多くの代議士の心は二股に裂かれているのでは。直前まで迷うでしょう。大方の予想に反して菅氏が勝つのかもしれません。
 菅氏にとってその場合が問題です。小沢氏は負けるつもりでたっているかもしれない。民主党を割って出て行く理由になりますから。支持者の数は、そのまま他党との連携につながる。経済危機に立たされている日本に政争を繰り返している余裕はない。だから、挙党一致が必要なんだ、負けても残ってくれ、というのが菅氏の本音ではないでしょうか。自分は負けても残ります、といったのもそういう理由じゃないか。

 まあ、カレンシーの交換で考えるといろいろ想像できますが、ここは結果を待つしかないですからね。このへんで。

2010/08/31

民主党代表 選挙

 菅、小沢両氏とも立候補しましたね。予想通りの結果です。

 私は菅氏のファンですが、影響力の点から考えると、小沢氏に学ぶところがあるように思います。小沢氏は政局になると力を発揮する政治家と思われているようです。省庁と闘うイメージがあるものの、官房長官ぐらいしか大臣をやったことがない。本当のところは、霞ヶ関を動かせるのかどうか・・・。その上、世論の支持率は著しく低いでしょう?それでも、党内代議士の過半数は小沢氏を支持するのです。なぜか?

 カレンシーで考えてみましょう。政治家の多くは元々は理想に燃えてこの道に入るんだと思います。最初から利権の仕切り屋になりたくてなる人はいないでしょう。ところが、実際には利権を動かさなければ何の政策も実現しないことに気づく。最初は大いにジレンマを感じるはずです。でも、政治とはそんなもの、と考えるようになるのは不思議ではありません。会社員だったら多かれ少なかれ分かるでしょう?そうして、社会の現実にまみれていくことにどこか後ろめたいところがあるんじゃないかなあ。
 そこに小沢さんは強力な二つのカレンシーを提示する。まず、選挙に勝つ戦術。これは素晴らしいテクノロジーのようですね。社民党も頼りにせざるを得なかったんですから。といっても、実は地道に努力を積み重ねることを要求する。ここにまじめな政治家の道を感じさせます。その上実際勝てるとなったら、これほど大きなカレンシーはないでしょう。
 もう一つのカレンシーは、省庁との対決です。政治家なら国民のために省庁の利権を再分配したいはず。しかし思うようにならないのは、あちらの組織も慣性が働いていて止められないからでしょう。しかし、小沢さんはそんなことお構いなしに、理想をぶつけてくる。友人の元新聞記者たちに聞くと、彼は見た目と違って大変な理想主義者だそうです。それで心酔する人々が多いとか。自分一人ではかなえられない理想を掲げられたら・・・。これほど心強いことはありません!

 さて、まとめると、生き延びる戦術と理想主義、この両面を使って人を動かしている。「影響力の法則」52ページをご覧ください。一番上とその次にこれらが来ているんですよ!!小沢氏の側近が小沢さんは「ステーツマン」と言っていました。本当は分からないんだけれど、そういう気持ちはよく分かります。

 小沢さんの最大の弱点は、省庁を動かせないことかもしれません。だとしたら、総理大臣になんかになったらぼろが出てしまう?本当ですか?分かりません。ただ、言えることは、リーダーがすべきことをしっかりとやっているように見える小沢氏から学ぶことは大きいというわけです。これは、プロジェクトマネジメントや部門の運営でも役立ちますよ。もちろん、しっかりと腰を据えてやらなければなりません。

行き詰まったプロジェクト

 先日研修でお目にかかったあるプロジェクトリーダーの方のお話しです。

 その案件を進めるには、他部門の協力が必要だそう。今すでにいくつもの案件を抱えており、絶妙な調整なくして結果を出すのは容易ではありません。当然、各方面に協力を求めます。ある部門はマネジャーが協力するよ、といってくれ、やれやれと思っていたのだそうです。

 ところが、部門のトップが突然NGをだしてきた。お話しをうかがったのは「なぜ?」というときでした。

 どうやら、部門を越えた要請は控えるように、という全社のお達しのようなものがあったのだとか(それが本当だとしたら、この会社大丈夫なのかな?社外とのアライアンスで生き残ろうとしているんでしょうね)。全社方針には逆らいにくいものです。しかし、本人に会ってみると、本当は何とかしてやってもいい、という雰囲気らしいのですね。こうやって「お達し」の隙間をくぐって、企業は発展してきたとも言います。プロジェクトXが受けた理由の一つはそこでしょう。

 とはいえ、この部門長、積極的に協力してくれるでもない。さてどうしたものか。たぶん論理的に説明してもだめで、「どうしてもお願いします!」という捨て身の行動が必要ではないでしょうか。もっとも、こうなるまえに予防策をはれるのが望ましいのは間違いありません。ステークホルダーひとりひとりにカレンシーを渡しておけばよかったのに。たとえば、相手の部門が困っていることを聞いておくとか、部門長の考えをうかがっておくとか、顔を出して「こんにちは」でもいいんじゃないかと思います。こういうことが、いざというとき助けになるものです。

2010/08/15

未来年表

 NRI(野村総合研究所)の未来年表、2007年版を部屋で見つけました。あらためて見てみると、2007年の未来は微妙に遅れていますね。たとえば、今年には第4世代携帯電話が始まり1ギガ光ネットワークが普及していることになってますが、まだですよね。次世代携帯電話LTE(3.9世代)は年内にスタートするかどうか。2012年には国産ジェット機飛び、2014年には自動車の燃費は2004年比2倍になると書かれています。予定通り未来は来るのでしょうか?

 この微妙な遅れ?の理由に興味があります。意思決定が少し遅れれば、全体が大きく遅れてしまいます。そんなことじゃないかと・・・。リーダーの影響力が問われているんだと思います。

 さて、先日刊行された『Power Up 責任共有のリーダーシップ』、おかげさまで大いに関心をいただいています。明日16日、日本経済新聞夕刊に広告が出ます。多くの方にお読みいただければと思います。

2010/08/08

首相の平身低頭

 国会内外における菅首相の平身低頭ぶりが話題になっています。参議院議員選挙後「イラ菅がなりをひそめ、ひたすら低姿勢」といった報道が続きましたよね。

 実は私は30年にわたって陰から菅氏に声援を送ってきました。厚労相として薬害エイズ事件に切り込んだときは溜飲を下げましたし、以前首班指名されたときも時の変化を感じたものです。ですから、いよいよ首相か、と思ったら、正直感無量であったのです。

 しかし、就任直後から嫌な予感はありました。「強いリーダーシップを発揮して」と繰り返していたでしょう?ところが、彼には、強いリーダーシップを発揮する準備がなかった。たとえば、小泉さんは就任直後に、あれは参院選だったか勝利しましたね。あの勝利が議会与党に対する大きなカレンシーになった。議会は好きに法案を通せるようになる。かわりに郵政民営化とか靖国神社参拝とか目をつぶることになる。これがリーダーがメンバーと交わすカレンシーです。
 逆に国民あるいは議会にカレンシーを渡す前に、思うような政策など実行できるはずがありません。消費税騒動がきっかけといわれていますが、国民はまずネガティブのカレンシーを受け取ったと感じ、選挙でそのお返しをする。選挙の結果は与野党にとってネガティブカレンシーとなり、政権基盤を脆弱にする。

 たぶん、代表戦にでれば再選するでしょうが、それは反菅陣営(親小沢陣営?)の思うつぼ。カレンシーを押しつけられれば、相手の言いなりにならざるを得ない。反菅陣営のいうことを最後まで聴かなければならなくなるのは、本人にとって不本意でしょう。逆に菅グループを含む反小沢陣営から引きずり下ろされるかもしれない。こんな時忠臣がいないようだしなあ。

 リーダーは、相手より先にカレンシーを差し出さなければならない、というあまりにもわかりやすい事例になったようです。優秀な人ほど陥りやすい罠じゃないでしょうか。

2010/08/06

部下3人

 こんな場面を観察しました。これは実際はちょっと違うんですが、リーダーとはじめてその下につくメンバー3人が、テーブルを挟んで向き合っている場面。リーダーは、新しいプロジェクトについてメンバーに説明しています。そんな場面を想像してみてください。

 メンバー3人のうち、2名は身を乗り出している。リーダーの話に頷く、質問する、メモをとる。積極的です。残りの一人は、腕を組む、あくびをする、顔を逸らす。前日寝てないのかなあ。さて、リーダーはどう反応したか?

 結論は、前者2名を見て話をしました。3人目には時々視線を配る。でも表情がない。そのようなリーダーの反応をみてか、メンバーはますます退屈になる。これは、リーダーとメンバーの間に、交換が起こる過程をよく示しています。当然、交換が進めば良い情報を得られるのでメンバーは仕事しやすくなる。一方交換が少ないと、情報が少なくなってしまうでしょうね。前者をinGroup、後者をoutGroupといいます。そして、一度out Groupに入ってしまうと、なかなかin Groupには入れないようですね。

 若い人には、早くinGroupに入れといいたいです。だからマナーとか下手に出るとか、そういうことも生きる上の戦術と思って、馬鹿にしてはいけないんですよ。

2010/08/05

辞任撤回

 日本相撲協会の武蔵川理事長は、記者会見で理事長続投を表明したそうです。昨日の報道では「辞意を漏らす」とあったので、事実上の辞任撤回です。ご本人の複雑な心境と、やはり複数のステークホルダーの意図を感じます。やめろ、という人と続けろ、という人が両方いるんですね。

 こうなると、誰が意見を言っているんだろうと考えるわけで、いっそう怪しく思えてしまう。理事長のみならず、理事会の影響力低下は避けられないのでは。

 トップ(横綱)が弱音をはいたら、「死に体」といって引退しなければならないんでしょう?理事長は適用外のようですね。
Naruhide
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2010/07/30

北海道旅行

 北海道をまわって感心したのは、1 高速道路の建設が進んでいたこと 2 走れども走れども畑。開拓者の開拓者魂を感じた

 網走方面をクルマで走りました。厳しい気候の土地、隅々まで畑なのに驚きました。麦、ビート、ジャガイモ、にんじん・・・。酪農も。多くの犠牲を払ったのは間違いない。北海道神宮(札幌)には、開拓者の魂を慰める神社があります。多くの先人が、志半ばで倒れたのでしょう。そのわりに、内地の人はその努力を認めない。農作物の単価は下がり、価格交渉は厳しくなる。国民は農民に対する恩を忘れてFTAを進めようとしているのではないか・・・。
 それなのに、高速道路をつくると「無駄」と言われるのは、理不尽きわまりない。と思うのではないでしょうか?

 都市に住む人間が農業従事者とカレンシーを交換するとしたら、まずはその長年にわたる功績を心から認め、現地に入り話を聞くことかな。真剣勝負で行かないと。日本も一部欧州諸国のように「都市対地方」「旧産業と新産業」の対立に向き合った方がいい。

"Power Up" 販売開始!

 『Power Up 責任共有のリーダーシップ』(アラン・コーエン、デビッド・ブラッドフォード著 税務経理協会刊)が、アマゾン、全国書店で発売になりました。

 リーダーシップについて、新しい見方を提示できていると思います。ぜひお手にとってみてください。

2010/07/22

他人の好意

 他人の好意を受けるのが難しいのは、それが借りを作ることになるからでしょうね。返さなければならなくなるのは自明だから、断っちゃう。
 でもそれが交換を妨げ、発展を阻害している面もあります。ジレンマを感じます。

足を知る

 東寺から年2巻「光の日日」が届きました。

 封筒の表紙には「無病は第一の利、足を知るは第一の富、信頼は第一の親族、仏と生きるは楽しい」とありました。足を知る、がなかなか難しい。怒りや不満は、足を知らないから生まれてくるところ大ですよね。論理療法のイラショナルビリーフです。
 むずかしいからこそ、意味あることとわかっているからこそ、この一行に目がとまります。

2010/07/20

ボーイング787の遅れ

 ボーイング社の787型機、通称ドリームライナーは、燃費を大幅に改善し、航続距離を延ばせる高性能機です。しかし、2008年には最初の納入が行われるはずだったのにすでに2年遅れ、今日の報道によるとさらに来年になるのではないかと言われています。

 革新的な製品の開発に、約70カ国から各社が参加しており、プロジェクトマネジメントの難しさを感じます。ボーイングと各社のプロジェクトリーダー同士の影響力が必要でしょう。ところがそれは容易ではない。あらためて、影響力の問題を感じます。

2010/07/14

金融界の善人?逮捕

 日本振興銀行の木村前会長が逮捕されました。検査妨害容疑。都合の悪いメールを消せ、と指示したとか。業績が悪くて、よほど追い込まれていたのでしょうか?

 私が注目したのは、「木村氏のいうことには、誰も逆らえなかった」といった、関係者のコメントです。これはどういうことなんでしょうね。木村氏側は、命令したわけではない、といった趣旨の供述をしているといいます。しかし、ニュースによると「消すように指示」「消せと指示」となっています。
 これは私の想像ですが、木村氏は「いつまでも残しておかない方がいい」とか曖昧に言っていたのかもしれません。ところが、部下たちが金融庁元顧問の偉大な木村剛先生が言うことなんだから、「消せ」とか聞こえていたんじゃないかなあ。私も言ったこともないことを言った、といわれることがあります。要するに、コミュニケーションは送り手と受け手がいて成り立つのですから、相手によって聞こえ方が異なることがあり、そうやって独裁者ができちゃうんだろう、と改めて思った次第。

 新社長は、江上剛氏ですか。著名なカリスマを据えればよくなるというのが幻想だと、みんなが気づかないと、また江上氏が悪者になってしまうんじゃないですかねえ。そもそもこの銀行、新銀行東京同様、事業モデルに無理があるんじゃないかな。

2010/07/12

投票所にて

 昨日は朝早くから投票に行きました。会場で入場券?を係員に渡すと、「タカシマナルヒデ様?」と確認する。

 なぜ選挙に行って「様」呼ばわりされたのか?とても奇異な感じがしました。なぜなんでしょう?カレンシーでしょうか?

2010/07/10

パリ20区、僕たちのクラス

 「パリ20区、僕たちのクラス」を観てきました。第61回カンヌ国際映画祭 パルムドールの秀作です。
 
 まず、あまりにも日常的な学校の場面だけでできている映画の構成に感心しました。学校以外の場面がないんですよ。そして、ハッピーエンドでもなく、若者たちにとっての人生そのものと、教師の葛藤を、淡々と描いている。これがカンテ監督の世界観でしょうか。
 少年たちは素晴らしいパフォーマンス。クラスには大きな事件が起こるものの、1年後にはそれぞれが成長の跡を残している。教育に関わるすべての方たち、少年少女に観る価値ありと思います。

 教師と生徒の「カレンシーの交換」も見応えありです。
http://class.eiga.com/index.html

2010/07/08

刑事コロンボ

 コロンボにかかると、容疑者はべらべらしゃべってしまう。いつも、ここが見所だと感じます。どうしてしゃべってしまうか。

 1 コロンボはみすぼらしい身なりで、容疑者は自分の方が上だと思ってしまう。
 2 コロンボは、容疑者をやたらと持ち上げる。「こりゃ、すごいですね。高いでしょう?」とか。「よく知らない」という顔もする。
 3 「うちのかみさんが」と、女房に頭が上がらない情けない男、と思わせる。

 コロンボ研究家の方なら、いくらでもあげるんでしょうね。どうですか?

 注目すべきは、彼の言動がみんな相手にとってカレンシーになっているという点。「捜査から外されたんですよ」とかいって油断させ、反応をうかがってみたり、有名な「あ、もうひとつ」も。しつこい男が帰っていく、というカレンシーを与えたてちょっと安心したところに、質問する。

 これは大変な影響力です。

 でもね、これができないんですよね、こちらにプライドがあると。相手よりもいい洋服着ていたかったり、いいクルマに乗っていたかったり、何でも知ってるという顔したり。私もそうですね、人間ができてないんだな。馬鹿の顔をするのも、カレンシーになるんですよね。妻によく言われるんですけど。

2010/07/07

権力の継承

 しばらく書かないでいたら、事務局の升谷朋子さんにもっと書けと励まされました。やはり見てくださっている方がいるからには、継続しないと。

 今朝の朝日新聞には、北朝鮮における権力の継承について、論説主幹の船橋洋一氏が書かれていましたね。継承期には、いろいろな問題が起こる。たとえば、大韓航空機撃墜事件もそう。あれは、先代末期の政治や外交では理解できない理不尽な事件でした。今回の天安撃沈事件も同様、というのが日米韓に共通の見方だというのです。権力者への忠誠をいろいろな形で表明している、という各国の分析はおもしろいですね。

 もっとも興味深く感じたのは、「マフィア」型の忠誠誇示という米軍筋の分析。マフィアは人殺しができることをボスに見せることで評価される。天安撃沈は、そのような背景ではないかというわけです。つまり、権力者(ジョンウン?)に危険を冒すところを見せて、忠誠を示していると。

 たしかに、ボスのためなら恐れを知らず、という姿勢は大きなカレンシーになるものです。また、こういう部下が出てきてしまうと、追い詰められた上司ほど信頼するはず。嫌な時代です。

 このような状況で、いかに緊張を和らげるか。関係各国の相当な努力が必要ですね。

2010/05/31

見えない現実

 昨日の朝日新聞土曜版"be"に、内田樹氏のインタビューが載っていました。そのなかに、「女子大でリーダーシップを教えるなんてつまらない」という趣旨のお話がありました。実はこのご意見、私先生のブログでたまたま拝見したことがあります。「女子学生、リーダーシップ」のような検索をかけて、あたったコメントでした。私は女子大でリーダーシップ開発プログラムを実施していたので、少々不愉快な思いで、とはいえ何か引っかかるものを感じながら、やり過ごしました。というのは、私が言うリーダーシップとは、いわゆる「セルフリーダーシップ」であり、上役が部下に向かって発揮するようなものを意味しているわけではありません。だから、そういう意見もあるだろう、と。でも、今回はやり過ごせなかったな。氏のご意見に全面賛成ではありませんが、無視してはいけない。

 今回そのプログラムを終えて、プログラムの有用性は改めて確認できました。しかし、参加者のコメントを見ると、プログラムの趣旨とはっきり一致していないかもしれない。プログラムの趣旨に一致する学生を捜し出そうとしていないか。本当に求められていることは別にあるのではないだろうか。自分の都合のよいように現実を見たいところがないか。

 今後、評価のプロセスに入りますから注意していかなければ。本当に自分の都合がいいようにしたくなりますからね!

2010/05/24

無責任な取り巻き

 沖縄の問題は、どう収拾するかに焦点が移っている様子。落としどころは決まったんだから、あとは首相が政治生命をかけて働くということでしょう。ところが今日の沖縄県知事との話し合いをテレビで見る限り、命をかけているのは沖縄側。首相はどこか余力を残しています。勝負は先と考えているな。首相が話を決着させるには、沖縄県外の国民に理解をもとめ味方につけるしかないのではないか。世論をバックに同胞とたたかうのは、いい構図ではないですね。また、国民の多くは(私も含めて)「ほれ見たことか」と思っているので、首相を簡単には支持しないでしょう。ああ、自分がまた無責任な国民になっていることに、複雑な気持ちです。

 無責任と言えば、小沢民主党幹事長の発言には、無責任な部下の典型的な言動が見られます。「首相が約束したんだから、県外、国外移設をもう一度検討して」というもの。これは小沢さんが約束させたんじゃなかったかな?他のばらまき策も含めて。上司をその気にさせてはしごを外すのは、会社でもときどき見られますよね。このような部下とはつきあいたくない、と思ってはいるものの、能力があるから外せない部下。言いたいことは言うけれども、決して責任あるポジションに着こうとしない部下。そのくせ、残業代はちゃっかりもらっている。多くの国民は、なんとなく覚えてますよ。

 まずは、こちらの味方につけることを考える。それでもだめなら、やはりどこかに転勤してもらうのでしょう。もっとも安易に後者を選べば、自分のマネジメント力は高まらないし、上司からは能力がないと思われるので最終手段。さて、いかに。続きはPower Up日本語版(7月刊行予定)で。

2010/05/23

デキ女子塾

 フェリス女学院大学で実施してきた、半年間の「デキ女子塾」を終えました。リーダーシップを発揮する女性を育成しようという趣旨。ここで言っているリーダーシップとは、なにもリーダーの役割をとらなかったとしても、集団のなかで責任ある行動をとれる大人を目指す、といった意味です。将来、地域、職場、家庭で責任あるメンバーとして、チームを支える若者に育ってほしい、というのが我々の狙いです。

 参加者に話を聴いてみると、サークル、ボランティア活動、アルバイトなど、日常生活での取り組み方が変わったのが印象的。人との関わり方が、受け身から能動的なものに変わると、協力者が増えて、仕事がスムーズに進むようになる。するといい成果が出るからおもしろくなる、というのです。そう、おもしろくなったら、それが自分の仕事だと思って、もっと深めていったらいいね。深めると、自信が感じられ、気持ちよく他人と話ができるようになる。そうして、もっとおもしろく仕事ができるようになる、でしょう?

 要するに、プログラムはきっかけに過ぎず、いかに日常で学べるかが大切。チャレンジとリフレクションと。

 このプログラムに参加した学生は、ちょっとつかんでますよ。企業もこういう学生がほしいんじゃないかな。あと1年半、この調子でがんばれ!

2010/05/22

自動車技術展

 1ヶ月も離れてしまっていました。この間、Power Upの翻訳をやっていたり、いくつかの案件に追われていたり、ブログに書いてはいけないことを書いてしまいそうになったので、書かずにいたというわけです。ちょうど1ヶ月、再会のよいタイミングにさせてもらいました。

 今日、「人とクルマのテクノロジー展2010」に行ってきました。自動車技術の現在を理解したいのと、影響力の法則がどのように役立てるか探りたかったのです。湾岸を飛ばしてパシフィコ横浜まで。会場に着くとさっそく来場者登録をして展示場を回ります。

 結論を言えば、おもしろかったなあ。モーターショウよりもおもしろかった。完成車メーカー、モジュールメーカー、素材メーカー、診断機メーカー、製造装置メーカーなど一同に出展していました。各社エコがテーマ。簡易型のハイブリッドなど実に興味深かったですね。モジュールメーカーと完成車メーカーで同じ製品を展示しているのは、可笑しかった。それぞれ異なる観点で自社技術を売り込んでるわけです。どちらに所属する技術なんでしょう。

 何人か、技術者の方を呼び止めてお話をうかがいました。みなさん、技術者魂を感じる方が多くて、日本の自動車まだまだいけるぞ、と感じました。印象的だったのは、ホンダの新製品のプロジェクトリーダーの方の話しぶりでした。製品に対する愛情、仕事の楽しさをお話しいただき、この会社はやはりいいぞ、と感じた次第。ついでにいえば、エコ技術の掲示が多い中、手動変速機の取り扱いがいかにスポーツカー的か、というマトリクスまで用意して、ホンダはぶっとんでいると感心しました。一方で、ある会社さんでは、「仕事が細かく分断されていて、何をやっていたかわからない」という話もうかがい、いつでもうまくいっているワケじゃないんだな、と。そうだよな、技術者みんなが挑戦しなければ!

 ともあれ、プロジェクトリーダーのリーダーシップは重要ですね。こちらが役立てそうなことも、たくさんありますよ!

2010/04/21

いよいよ混迷、基地問題

 予想通りの展開になってしまいました、基地問題。意思決定の難しさを学ぶケースとして、これ以上ないものになりそう。

 過去にさかのぼれるのなら、前任者の決定(実はもっとまえ)とはいえ、自分が頭を下げてお願いして歩いたら、すごいやつだといわれたかもしれません。今ではどうか。

 今日の報道では、徳之島の町長さんたちは死ぬ気でいます。私が彼らの立場だったら、ほんとうに死ぬまでハンストやるかもしれない。ことの重大さを本土の国民に知って欲しい。これは他の地域でもそうでしょう。

 カレンシーの交換で考えれば、こちらも命かけるんでしょうね。

 仕事の中で、自分も同じような立場に立たされるかもしれない。覚悟が問われます。

2010/04/18

迷えるフォワード

NHK「スポーツ大陸」でサッカー日本代表の玉田選手を紹介していました。玉田といえばワールドカップでブラジルから得点したフォワード。実家がうちの近所らしいので、サンフレッチェサポーターの私も、彼を応援しています。

 それにしても長年迷っているようですね。圧倒的に強いドリブル。ストイコビッチを感服させるテクニックが彼の持ち味。しかし、日本代表はパス回しで試合を作るスタイル。ドリブルかパスかで何年も悩んでいるようです。うーん、表情がよくないなあ。インタビューでもピッチでも、迷いが顔に表れている。

 このようなジレンマに直面することはしばしばでしょう。私も自分の強みを生かせない悩みを2年ぐらい感じていたことがありました。会社に押し込められるような感じ、歯車になるとはこういうことかと思ったものです。自分の顔もよくなかっただろうなあ。
 こうなると、周りの協力は得られにくくなりますよね。影響力は低下する。玉田もこんな状況にいるのかな。周囲のプレーヤーは玉田の意図がわからず連携も悪くなる。するとますます力を発揮できなくなる、と悪循環。

 玉田選手には自分を自由に表現したら、といいたいな。どこかで開き直ろうと。あれだけのテクニックが自由に発揮できれば若い選手にも負けないんじゃないか。加えてこれだけの迷いは若い連中は経験していないからね。がんばれ玉田!

2010/04/15

今日の学生

 3名の学生と面談しました。

 外資系航空会社に内定が出たIさん。在学中から訓練、夏にはフライトに出るそうです。内定が出たとたんに、CAらしくなりました。どうか卒業論文を書いて学生生活を全うしてください。

 在東京国連機関でインターンシップを体験したKさん。ジャーナリスト志望とのこと。君ならできる。ぜひ専門領域をきわめましょう。

 海外に消費財を営業したいTさんも、潜在能力は十分と感じます。P&Gとかunileverのようなグローバル企業を目指してもいいんじゃないかな。自分の力を活かすなら、日本の枠にこだわることはないよね。

 有能な女性が自分の能力の活かし方を学び、社会に貢献してくれることを祈っています。

若き技術者たち

 大学を卒業したばかりの若き技術者たちに会いました。機械工学、電子工学、化学など専攻の若者たちで、多くが大学院了です。例年博士号を持っているものも混じっています。ということは、10年近く大学の研究室で過ごしたものもいるわけです。

 そこで気づいたこと。彼らにとって企業に就職するのは、転職に近いものがあるということ。研究者から技術者への転職です。しかしそれに気づいていて、覚悟を決めているものは必ずしも多くない印象です。会社に入ると製品開発の一部分を、それも職人肌の先輩と組んで担当することになったりする。不本意に感じることもあるでしょう。大きな試練になるかも。

 早めに現実に向き合わせてあげたいところ。

2010/04/12

サタデーナイト・ワークショップ実施

 先の土曜日、最初のサタデーナイト・ワークショップを実施しました。

 本ワークショップは、週末に問題を解決して月曜日から職場に出向くのが楽しみになる、という趣旨。最初の参加者は厳選された?6名。「影響力の法則」を使って、お互いの問題を話し合いました。職場に協力者が増えれば、仕事はしやすくなるし、長期的に見てもキャリアにプラスのはず。
 今回は出席者から2ケースをあげていただいて話し合いました。建設的で前向きな討議は、エネルギーが漲って楽しいですね。参加者には大好評でしたし、最初としては大成功ではないでしょうか。

 これからも「今起こっている事例」を討議して、お互いの「影響力」向上に寄与したいと考えています。定員も徐々に増やそうかな。次回は5月。詳細はまたお知らせします。

2010/03/31

初職の影響

 キャリア発達に、初職の影響は大きいと考えられています。個人の成長、選択肢の多い少ないなど、様々な影響がありそう。
 この研究が面白いのは、卒業後2-3年に常勤職につけば、新卒採用と変わらないという点。すぐに就職できなかった若者にも、希望が持てるでしょう?
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis240/e_dis234.html

大学にて

 午後、大学に向かいました。引き続き、インターンシップを終えた学生と面談します。

 ここで、卒業生にばったり。明日の入社式に出席するため荷物を抱えたAさん。希望する会社への入社が叶いよかった。一昨年の授業であったBさんは、最終試験に臨むところ。外資系ですからこの時期ということもあるんですね。

 学生たちが前を向いて進んでいるのを見て、頼もしく思いました。頼もしくと言えば、昨夜メールをくれた佐々木さんも、苦労の末に内定を得たとのこと。おめでとう。うれしいですね。

 この時期、前を向けない気分の若者も少なくないでしょう。仕事がないのは、ほんとうに厳しいことです。でも、これは経済環境とか外部要因による部分が大きいのです。もちろん要領も悪かったかもしれません。しかし、あなたの人格までが否定されているわけではない!といってあげたい。そう信じていれば、いい出会いに近づけるに違いありません。

インターンシップは学生の学びにつながっているか?

 今週は、インターンシップを体験した学生のフォロー週間です。

 年々学生の雰囲気が変わってきます。落ち着きがないというか、多くのことに追われている印象。忙しすぎて、集中を書いている状態。そんな学生たちですが、実習後はそれなりの学びを得て帰ってくる様子です。顔つきが変わってきます。なんでしょう?やはりやり遂げた自信かな。忙しすぎるということは、中途半端ということでもあります。職場での実習は、短期であっても未知の世界を踏破した達成感があるのではないでしょうか。もちろん、働く姿勢、ビジネスのしくみなど、多くを知ることもできます。

 今日も学生たちの充実した表情に、心強く感じた1日でした。やってみること、やり遂げること。人に言われたことより価値ありますよ。

2010/03/23

日経新聞電子版はどうか?

 今日から日本経済新聞電子版が始まりました。月4000円の有償とは挑戦的。4月まで無料キャンペーンとのこと、早速申し込みました。

 まず、Web刊と朝刊、夕刊が並立していることに、奇妙さを感じました。なにがちがうのかは、よくよく吟味してみなければ。普通、「新聞はインターネットニュースより解説など深く切り込む」などといわれていますが、もともと日経は、新聞もオンラインもそれほど差がないので、記事の相違をそれほど感じません。
 とはいえ、「社説」「経済教室」等の寄稿や、特集もWeb上で読めるのは、新しい感覚です。

 今回新聞のもうひとつの側面も再発見しました。それは、家族や職場で回し読みするものだ、ということです。電子版は個人での契約となります。するとおなじIDを家族で使い回すという、落ち着かない状況におかれます。また、携帯電話へのメール配信も1アドレスだけなので、ケチな感じがします。幸い私はBlackBerryを使っており、携帯配信は妻に譲りました。ああ、電子版は個人サービスなんだな、それにたいして新聞は家族のものなんだな、と感じました。そういう意味では、これは新聞の歴史的転換かもしれません。

 いずれにせよ、自分がよく見るキーワードでニュースを選んで配信するサービスがあったり、これからが楽しみ。
 ああ、うち日経とっているんですが、これを気に朝日に戻そうかと思っています。子供の頃からなれた新聞が、懐かしいので。無駄かな?

(Macが修理中なので、BlackBerryより。結構かけるな)
Naruhide
from mobile

2010/03/18

世界を見る

 学生からメールが。シンガポールに2週間滞在したそうです。そこで見たのは、あのシンガポールでも、民族によってつける職がことなること、ハラスメントが見られること、自殺者が少なくないこと。長い文章から、とても衝撃的な体験だったことがうかがわれます。

 若いときに世界の現実を見るのは、今後のキャリアの中で大きな体験です。職業人生にどんなインパクトがあるでしょうか。ぜひ、この体験を何らかの形で活かしてほしいものです。

提携か、独自路線か

 ルノーがダイムラーと提携を探り日産ものる、昨日から報道されています。思えば12年前、日産はダイムラーと提携するだろうといわれていたんですよね。けれども、「ダイムラーがクライスラーと組んだため、ルノーになった」ようにいわれたものです。これは後に、「当初からルノーが本命だった(ダイムラーはカムフラージュ)」と変わりましたが。まあ、因縁でしょうか。
 一方トヨタは、今朝(3月18日)の日本経済新聞の豊田社長のインタビューにあったように、同業他社との資本提携に否定的です。
 10年以上ルノーとやってきて、資本提携が厳しいものだということは、日産の方が知っている。それでもなお他社との提携を進めるということは、それ以上に得るものがあることを知っているんでしょうね。提携の組織能力があるとすれば、何なんでしょう。

 今月の買収案件リストをながめながら、考えました。

2010/03/16

「民主的」であるのは容易ではないのか

 タイで、現政権支持者と前政権支持者が、また衝突しています。あれは今報道されているだけで、ずっと続いていたんでしょうね。微笑みの国タイは、インドシナの微妙な衝突の歴史をくぐり抜けてきた外交優等生、と思っていましたが、昨年のASEAN首脳会議を中止に追い込むなど、想像以上の過激な反応に、私はいささか戸惑っています。

 まあ、これも都市部と地方の利害の衝突だとか、地方農村部の利益を拡大したタクシンに対する忠誠だとか、麻薬とか、タクシンの事業とか、カレンシーの交換で考えれば当然かなとも思います。彼なりのリーダーシップでしょう。大変な事業家で資産家だそうですから、それなりに難しいところを歩いているのかもしれません。

 こうなると、2大政党の民主的な政治というのは容易ではない、と改めて思います。ひとたび政権を担当し権力を得ると、野党でいるのはがまんならないんでしょうか。今でも覚えているのは、2000年のアメリカ大統領選挙。怪しい結果であったにもかかわらず、アル・ゴアは、早々に敗北を認めました。国を二分して対立することを避けるためだったとか。そして、ゴアの支持者もその結果を甘んじて受けた。これは、成熟なのかルールなのか。いずれにしても感心したし、印象的でした。さすが、民主主義の国。でも世界では、こんな対応は少ないのかもしれません。

 日本の自民党も、利権がなくなるとバラバラですね。あれは、ひょっとしたら解党になるんですか?そうすると、結局2大政党というのは、どうなるの。

2010/03/13

プロジェクトリーダーは、相反する課題を両立しなければならない

 ちょうど研修後の課題をチェックしていました。Quality Cost Deliveryを厳しく求められており、みなさんたいへんなプレッシャーのなかでやってます。

 QCDとは、平たくいえば「はやい、安い、うまい」ですね。それぞれ相反する課題の達成が重荷。チーム全員の専門性を結集しなければなりません。ところが、組織には外部の人材が入ってきているんですね。社内の知識だけで解決できないことが増えているわけです。彼らはそれぞれ異なるバックグラウンドを持つので、派閥を作りやすい。この人たちを結集させるのがリーダーには一苦労です。

 印象としては、3割近くのリーダーはリーダーの役割を拒否しています。できれば、いちエンジニアでいたい。1〜2割はコミットしているかな。残りの5〜6割は様子見でしょうか。上司を見ても、こんなきつい役割は勘弁してほしい、という感じ。プロジェクトメンバーは、黙々と自分のことしかしない上に、難しいことはすべて上に押しつけるのですから、リーダーの負荷は過大になっています。そのような状況なので、研修の焦点も、まずはリーダーの役割を受け入れることにあります。(よって、私は多大なカレンシーを彼らに渡しています。受け入れさせるために。)

 多様性を扱えないなら、ただのマネジメント。リーダーとは言えないでしょう?(そこで、提携は苦手だと公言するメーカーのことが気になってしまうのですが・・・)チームの定義には「相互補完する多様性」が含まれます。でも、多様な人材を一つにまとめられたら、リーダーは楽しいと思いますよ。それで、相矛盾する課題の達成に臨んでこそ、やりがいも達成感もあるでしょう。日本では、リーダーの定義をよく考えた方がいいですね。

 さて、こう書きながら気がかりなのは、上の「リーダー」のところを「親」にすると、なんとなくはまってしまうところ。少子化の理由は、保育園だとか物理的なこともあるでしょうが、親になりたくない、今のままでいたい、の方が大きいんじゃないのかな。どうなんでしょう。

2010/03/11

松下幸之助翁のとらえる「悩み」

 BlackBerryに音楽を入れて持ち歩いています。そのなかに松下幸之助翁のCDがある。まれにでも聞いてみると、いいなあと思います。

 例えば「千の悩みも」という講演。私たち多かれ少なかれ悩みを抱えながら生きている。しかし、その悩みはひとつに収斂していくというのです。小さなデキモノを見つけるときになってしょうがない。でも、お腹に腫瘍が見つかったらこっちが心配になって、小さな出来物のことは忘れるだろう。悩みは突き詰めるとひとつである、と。いいでしょう?

 そのあとがまたいいんです。大きな悩みを見つけたら、その解決に一心不乱に取り組みなさい。それがあなたの人生の生き甲斐になる、というのです。なんたる発想の転換!しびれました。

 このような発想の転換は、大きなカレンシーになり得ます。気持ちが明るくなりますからね。松下翁が優れたリーダーだったワケがかいま見えます。

2010/03/09

「棟梁というのは、木のクセを見抜いて

適材適所に使うことやね」とは、西岡常一棟梁の言葉(「木に学べ 法隆寺、薬師寺の美」小学舘文庫)。
 「木のクセをうまく組むためには人の心を組まなあきません」とはかっこいい!リーダーはこうでないと!!

 3月20日、東京都ウィメンズプラザにて、西岡棟梁著書「宮大工西岡常一 口伝の重み」を読んで、キャリアを学ぶディスカッション開催。

サタデーナイト・ワークショップ1

 4月から「サタデーナイト・ワークショップ」を実施すると書きました。さっそく興味を持っていただいていて嬉しい限りです。

 ニューヨークのアルバートエリス研究所のカウンセラー養成研修に参加したときのこと。事務局から、「フライデーナイトワークショップ」の案内がありました。國分康孝先生からは、金曜日の夜の「フライデーナイトワークショップ」は見るといいといわれていましたので、楽しみにしていたのです。当日はハリケーン襲来の日でしたが、アッパーイーストの研究所まで、宿からせっせと歩いて向かいました。驚いたことに、会場は満席。80名はいたでしょう。

 壇上には、エリス先生とクライエント1名が対面。カウンセリングが始まります。エリスはいわれているように極めて積極的に介入し、どんどんこうしろこう考えろ指示します。一般的な「傾聴」を軸としたカウンセリングとは大違い。これは聞きしに勝る、と感心したものです。そして、聴衆が二人のやりとりを真剣に聴いているのに感銘を受けました。一段落すると、会場からの意見を募ります。数人が、クライエントにアドバイスします。そしてカウンセリング終結。2時間ほどのセッションで、2名のカウンセリングが行われました。

 感心したのは、多くの聴衆が真剣に人の悩みを聴いていることでした。自分の悩みを重ね合わせていたのでしょう。壇上のクライエントが代理となって、カウンセリングを受ける。そんな体験でした。2回目に行ったときは、すでに先生は90歳を超えており、耳もほとんど聞こえないのですが、それでもヘッドセットをつけてカウンセリングしていました。このときは、別の部屋でモニターを通じてその様子を見ました。年代も性別も肌の色も様々。デート中のカップルもいました。聴衆は120人は来ていました。みんなが、互いに助け合っている、身近なコミュニティという感じでした。

 そんなことを、いつかやってみたいと思っていたのです。
 4月から、フライデーならぬ、「サタデーナイト」のワークショップができるのは、私にとってはとても大きなことです。

2010/03/08

ビル・ドレイトン氏の活動には、ビジネスの本質を感じる

 「日経ビジネス」3月8日号に、社会企業家の支援団体「アショカ」CEO ビル・ドレイトン氏へのインタビューが載っていました。氏の活動は、「社会企業家が世の中を変える チェンジメーカー」(渡邊奈々 日経BP)で読んでいましたが、あらためて触れてみるとすばらしいビジョンを描いていると感じます。

 社会企業自体に価値があると思いますが、新しい組織構造を目指していることが嬉しい。「チームのチーム」だと。企業、自治体、非営利組織が、またチームを築く。そこでは、すべてのメンバーがプレーヤーである。全員が主導権をとって、変化に貢献しなければならない。チームが変化を後押しすることに、価値があると。まさに「影響力の法則」が求められます。

 そうして、実現してきた様々なプロジェクト。それを現実と認識した経営者は、組織を変えなければならないと真剣に感じるでしょう。全員の力を引き出して、競合に打ち勝った組織の例もあげられていました。

 私たちの仕事もこうありたいと思っています。もちろん「影響力の法則」で貢献します。

 特定非営利活動法人キャリア・エンパワメントとの共催で、「サタデーナイト・ワークショップ」を実施します。4月10日。詳細は追ってまた。

2010/03/05

インビクタス  負けざるものたち 

 モーガン・フリーマン、マット・デイモン主演。クリント・イーストウッド作品「インビクタス 負けざるものたち」。

 ネルソン・マンデラが大統領になって、しかしまだ統治し切れていないとき。ラグビーのワールドカップに国民の心を結集させる。大統領とチームの主将による、この大きなチャレンジに向けた闘い。

 いくつも印象的なシーンが。そのうちの一つは、個々人にいつも以上の力を発揮させるには、魂を鼓舞する者がなければならない。二つ目は、恨みを晴らすようなことをしては、負ける。恨みを乗り越えることこそ勝利だ。

 まさに「影響力の法則」なんですよ〜。私はこういう話しが大好きで、興奮してしまいます。

 昨年観たイーストウッドの「グラン・トリノ」より格段によかったな。また見に行っちゃいそうです。

沖縄の声が聞こえてこない

 普天間基地の移設問題は、いよいよ大詰めに近づいているようです。この一連のできごとからは、いろいろと学ばせてもらいました。

 1 ステークホルダーの利害が錯綜すると、意思決定は難しくなる。〜今回初めて県外移設(国外)を公約(示唆)して発足した内閣です。言い換えると基地反対派が投票した人たちが支持している内閣ですね。こうなると、簡単には「やはり、計画通りに」と言えないのは無理からぬことです。意思決定は、システムで決まるというのがよくわかります。

 2 意見が割れているときに、黙って様子を見ていても、事態はよくならない。これは、グループプロセスや意思決定の定説だと思うのですが。時間ばかりかけて、諮問機関に一任しているというのは、悪い意思決定の見本のようなものです。そうこういているうちに、沖縄県議会までが満場一致で、つまり自民党も含めて県外移設を決議してしまいました。決定後に、大きな傷を残さなければいいのですが。

 3 沖縄県以外おほとんどの国民は、蚊帳の外におかれており、外にいると思えば冷ややかになる。正直言って、日々の忙しさにかまけて、ほとんど忘れていました。いや、大事なことだとは思っていたんですが、気がついたら「鳩山さんがいい決断をするだろう」「いや無理だろう」と、トップに責任を押しつけて、評論家になっている自分に気づきました。安全保障について考えるいい機会なのに、放置してきてしまった・・・。

 私は、沖縄にアメリカ軍が長々と駐留していることのぜひを、賛成派、反対派の本音を徹底的に聞いてみたいものです。特に反対派の感じている現実は、そこに住んでいなければわからないでしょう。近所だと神奈川の大和あたりでも戦闘機が飛ぶと首をすくめてしまうような音。東名を高速で走っていても、轟音が聞こえることもあります。そういう環境問題だけ考えても大変な負担だと思います。それだけでなく、安全、プライド、雇用など、いろいろな角度から現実をどうとらえておられるのか。双方の意見を徹底的に明るみに出して、みんなで議論に加わって、その上で決めるのであれば、国民の納得度も上がるというものです。投票率も上がるだろうな。でも、沖縄の声はあまり聞こえてきませんね。触れているメディアが悪いのか、自分がよく読んでいないのか・・・。
 今からでも参加して、納得するだけの情報を集めたいと思います。

2010/03/04

面接官は、応募者の何を見ているか?

 学生に尋ねてみました。面接官は何をみていると思うかと。とても優秀な学生です。レポートもとてもよかった。

 その学生から、自分を表現できるかどうかを見ているのでは、との回答。

 若いっていいな。でも社会経験のある方なら、そうじゃないよ、と思うでしょう。自分の立場を理解できるかどうかが、もっとも問われていますよね。相手を理解できる人は、味方が増える。だからどんどん仕事ができるようになる。

 学生諸君。まずは、面接官の置かれている立場を考えましょう。面接官の課題は、「こいつはいい」と直感したときに、その裏付けが得られるかどうかです。裏付けがあれば、「なんであんなやつ採ったんだ!」といわれたときに、「いや、あいつは必ずやります」と言い返せます。裏付けの一つは、適性検査ですね。それ以外には、苦難を乗り越えた経験談とか一般的です。

 土下座はどうでしょう。「この会社で、お客様のために仕事させて下さい」と。私が面接官だったら、こいつはやるに違いないと感じるかもしれません。あとで上司に「あいつは突然土下座したんです。本当にやるような気がします。私が請け合います」とか、報告しちゃうかもね。

 これは、大きなカレンシーだと思いますよ。

2010/03/02

オリンピック 佐藤有香の働きにメダルをあげたい

 佐藤有香さんは、今回のオリンピックでアメリカ代表のジェレミー・アボット選手のコーチとしてバンクーバーオリンピックに臨みました。佐藤さんご自身、元オリンピック選手。現在はペアを組んだアメリカ人選手と結婚しミシガンに住んでいるそうです。聞くところによると、アボットが佐藤にコーチを依頼したとか。結果は1年弱たらずの間にアメリカ選手権優勝、今回のオリンピックでは9位と活躍。日本代表小塚選手の佐藤コーチとの父娘対決でも注目されました。

 今回のオリンピックで印象的だったのは、日本選手の多くが世界のコーチについて、指導を受けてきたということ。浅田のタラソワ、織田のモロゾフ、上村にもフィンランド人のヤンネ・ラハテラがいたんですね。外国コーチばかりじゃないですか!外国から教えてもらうばかり、という構図が感じられて、オリンピック中少々残念な気がしていました。そんななか、佐藤さんがアメリカのトップレベルの選手を指導したのは、大いに価値があると思うのです。

 もちろん、日本人が世界中で人材育成に貢献してきたことは誇ってよいと思います。ただ、その多くはトヨタやホンダが、日本式の品質管理とか顧客サービスを教育してきたということ。もちろん、世界のトップ大学で教鞭を執る日本人教授や、グローバル企業の経営に携わっている日本人がいることは知っていますが、まだまだ少数派ですよね。日本式を教えるなら強みを発揮できても、世界標準を教えるとなるととたんに弱くなってしまう。フィギュアスケートという競技で海外の人材を育成している佐藤さんの貢献は、刮目に値するといったいいのではないでしょうか。

 こうして、高度な情報が相互に交換されると、より高いレベルに近づけると思いますよ。

2010/03/01

思いきって、仲の悪い人と仕事しよう

 枕元で日経ビジネス(3月1日号)読んでいたら、「日本が環境技術で進んでいるというのは、幻想です」との三菱重工福江副社長のコメントから始まる記事が。UNEPによると、環境技術への投資額は、欧州400億ドル超、中国300億ドル超、アメリカ160億ドルにたいして、日本は中東アフリカの半分に過ぎない8億7000万ドル。欧州の2%!!に過ぎません!!あらためて現実を突きつけられると、愕然とします。
 さらに記事では、日本の環境ビジネスの凋落ぶりがこれでもかと書かれており、編集者の危機感が伝わる内容と感じます。

 ここで思うのは、日本が独自技術にこだわり、オーバークオリティとも言えるスペックの製品をつくって、世界をリードしちゃうのが、ホントにいいのかということ。身内と侃々諤々やって、高度な悟りの世界に至って、しかし悟りにまでは至らない人たちがついてこられない、ケータイなどで言われるいわゆる「ガラパゴス」にしてしまうのがいいのか!これこそ、慢心と言うのではないでしょうか。

 そもそも身内で仕事するから、多様性をいかせない。わかる人たちの論理に収斂してしまうのが、問題の根元にあるのでは?慣れ親しんだ人の考えは、思考の幅を狭めるでしょう?

 そこで、思いきって仲の悪い、あるいは仲良くなれそうもない人と組んで、仕事するように意識してみるのはどうか?新しい知識や、思わぬ発見が得られるかもしれません。ただし、人間関係を拡げるのはリスクもありますね。そんなときこそ「味方になる」と思わなければやっていけない。刺激的になるでしょうね!

2010/02/28

「消費」のパラダイムでは、わからないことがあるにちがいない

 20世紀後半、人々の相互依存が進むにつれて、キャリアにおける生産と消費のバランスは激変したにちがいありません。つまり、「自分でつくるよりも、買った方がいい」部分が劇的に増えたと。例えば、食事するのに、材料は農業や漁業を営む人が生産した素材を、スーパーマーケットなどで買ってきて調理します。加えて、外食、中食の機会も少なくないですね。

 どうやら、このことがだめにした職業があります。エヴァン・I・シュワルツ「発明家たちの思考回路 奇抜なアイデアを生み出す技術」(ランダムハウス講談社)によると、1941年の国勢調査から「発明家」という職業は削除されたのだそうです。

 この本のプロローグにいわく「消費者の立場で考えるのをしばらくやめなくてはいけない」。ほしいかほしくないかで考える、人から認められるかどうかで判断する、などを排除し、ものごとの見えない本質を探究することこそ、発明家のスタートなのだそうです。私たち、売れるか売れないかで考えちゃいますからね。心に引っかかることを探求すると、新たな価値が生めるのかも知れない。そんな気がしています。

2010/02/27

ビジョンを描き、共有しなければ、リーダーシップは発揮されない

 研修参加者から教えていただくことは、たくさんあります。

 今日あらためて気づいたのは、ビジョンを描くのは容易ではないということ。例えば、ある部門の本部長が、本部レベルのビジョンを描けず、部やプロジェクトのビジョンしか思いうかばなければ、メンバーはビジネスを狭い範囲でしかとらえないことでしょう。部下に「当事者意識を持て」といってもかなわぬことです。リーダーは、自分で部下の当事者意識を妨げているのかも知れない。自分のビジョンが何を描いているか、改めてチェックする必要があると思いました。

 また、どんなに優れたビジョンでも、部下と共有されなければ、部下の行動にはつながらないですよね。コミュニケーションって大事です。では、コミュニケーションとは何か。実は、カレンシーの交換のことだと、私は思っています。

2010/02/25

豊田社長の顔つきに、迫力が増した気がする

 米下院公聴会に、トヨタの豊田章男社長が参考人として出席しました。一つ間違えば、トヨタは不誠実な会社という印象を与えかねない場面。リスクを冒して出席(参考人は任意)されたわけですね。豊田社長はアメリカ事業も担当されていたので英語ぺらぺらですが、通訳を挟むなど慎重に対応し、誠実な印象。結果としては今できるベストの対応だったのではないでしょうか。

 なにより、1ヶ月前とは社長の顔つきが違って見えるのが印象的。厳しい状況に向き合った経験が、人格をつくるというのは、納得がいきます。この事件を受けて、組織はどう変わっていくのでしょうか。これまで以上に強くなる気がします。

2010/02/24

オリンピック 日本選手はよくやっている

 オリンピックも後半。日本のメダルは期待以下と思われているでしょう。私も「こんなものなんだ」という感じ。10個のメダル、とかいう目標は何を根拠に言っていたんでしょうね。

 それはともかく、みんな良くやっていると思います。なにより、あれこれ多くの競技にでているではありませんか。それも、いい競技をしている。ノルディックスキー複合も上位入賞でした。幅広い活躍は日本のポテンシャルを感じます。若者は潜在能力がある。

 それより問題なのは、根拠の薄弱な目標を表明していること。テレビの視聴率を稼ぎたいんでしょうけどね。こういうまやかしが、国民の不信をうんでいるんじゃないかな。昨日の研修でお会いした参加者のみなさん(会社員)、誰もテレビ観てなかったですよ。サッカーの「ベスト4」には、いよいよ心配ですね。

2010/02/22

変革型リーダーシップは、無私の心を要求するか

 Burns(1978)は、リーダーの行動として変革型リーダーシップ(Transformational Leadership)と、交流型リーダーシップ(Transactional Leadership)を定義しました。前者は「メンバーの信念に訴え、彼らの正義感を喚起し、現状を打破する情熱と能力を発揮させる」リーダーシップ、後者は「メンバーの関心に訴え、利益を提供することによって、彼らを動機づける」リーダーシップと考えられています。

 どちらが好みですか?一般的には、前者の方が理想的なリーダー、カリスマにも通じるものがあると認識され、好まれるようです。ただ、どちらも重要なリーダーの役割といわれています。

 さて、この変革型リーダーシップの4つの要素が定義されています(Bass & Avolio 1994)。Idealiazed Influence, Inspirational Motivation, Intellectual Stimulation, Individualized Consideration。適訳が見つからなかったので、次のように訳しました。「無私の心、ビジョン、知的刺激、コーチング」。とくに「無私の心」は結構いいかな。本当は、憧憬を得る、のようなことなのですが。私利私欲から自由であることは、リーダーシップに欠かせませんよね?

2010/02/21

学生は「信頼」を学びつつある

 昨日、大学の学外プログラム「デキ女子塾」を運営しました。昨日のテーマは「信頼」ということ。ここでいう信頼とは、人に頼り切ることではありません。完全に知り得ない相手と、リスクを冒して協力関係を築く。スピードの速い現在、必須の能力と考えています。私の場合「信頼」は人間力の一つです。

 さて、いくつかのアクティビティを通じて信頼を学ぼうということでしたが、果たして学生は思った以上に感じてくれたように思います。たとえば、「信頼は片思いでもよい」「人柄を認めること」「信頼は自発的」など、おおっと感心するようなコメントが多々見られました。「信頼」を学びつつあると言っていいでしょう。

 このリスクを冒さなければ、影響力は高まらない。よって信頼は影響力につながる力でもあります。今後の学生生活で手応えを掴んでくれることと思います。

2010/02/20

いかにして信頼することを学ぶか

 明日は大学で学生のためのリーダーシッププログラムを運営します。明日のテーマは「信頼」。学生生活でも信頼関係が土台です。サークル活動など、信頼なくして成り立ちません。この信頼関係を築くのは、相互に信頼しあっていること。よくあるのは、「いかに相手に信頼されるか」という議論ですが、私は信頼する能力を高めることにフォーカスしています。

 さて学生は、どんな学びが得られるか?楽しみです。

2010/02/18

素早い反応の前提には、相手に対する信頼が問われる

 数日前にSNSを試している、と書きました。あるSNSで、海外の見知らぬ同業者から日本で仕事できる人を紹介してくれないか、と問われ、3人の有能な専門家に「コンタクトしてみてください」と照会しました。この状況、ネットワークが重要となるビジネスの現状を反映していて、勉強になっちゃいました。

 3人の専門家は、この状況をどのように受け取ったでしょうか?あいつ(私)の紹介だから間違いないだろう、と思うでしょうか。知らない外国人とコンタクトするのは、いささかためらわれることでしょう。私もこの海外の同業者と会ったことがない。信用できそうだという直感だけが頼りです。いい話でなかったら、私が3人から信用を失ってしまいますから、あまり強く推せません。

 結果は、3人のうち2人が、コンタクトするのが遅すぎたのです。もう誰かに決まってしまっていた。現在の意思決定は早いです。

 このようなときに、早く対応するには何が問われるか?私は「信頼」だと確信しました。信頼とは、相手の状況がわかっていないときに、相手が腹黒くないと仮定して行動することと言っていい。信頼はリスクを負うことを可能にします。本当に適切な人物かどうかがわからなくても相手と取引するのは、リスクを負うこと、つまり信頼することです。山岸俊男教授(北海道大 社会心理学)によれば、信頼する力のある人は、信頼に足るかどうかの客観的な情報を集めるのも上手い。一瞬にして信頼できると判断し、踏みこむ。ところがためらいが表情にでれば、「あいつはこちらを信頼していない」と認識され、スピードが問われる社会で取引するのは難しくなる。

 今回の反省は、私がこの外国人の同業者を信頼できると確信しないまま、つまりリスクを十分負わずに、他者に紹介したこと。そこで紹介文句にインパクトがなく、紹介された側がためらってしまった。みなさんに迷惑をかけ、申し訳ない。難しいと感じました。
 次はどうするか。紹介するときは、思い切って自分がリスクを負う(あたりまえですが)。それがかなわないなら、自分には無理だとお手上げする。

 現代こそ信頼することが問われている、実感しました。

2010/02/17

ものづくりの方向性は、やはりモジュール化か すると・・・

 昨日藤本隆宏教授の寄稿をきっかけに書かせていただきました。製品がますます複雑になれば、働き方はどうなるか、人と人の関わり方はどうなるか?今朝の日本経済新聞「経済教室」も藤本先生の論文(良い現場は日本に残せ)が掲載されていました。

 日本のものづくりの現場は、組織能力が高いので、日本に残した方がいい。もちろん、能力の高い組織についてです。それは同感。もっともですよね。先生のいわれる「ものづくり現場発の成長戦略」とは、1 能力の高い設計、生産拠点を日本に残す 2 設計・生産の調整負荷の高い、インテグラル型製品を角に産業構造と事業モデルを組む 3 より長期的には米中韓に負けない戦略構想力や分業型組織能力を磨き、モジュラー型製品に対応する。・・・・うん?モジュラー化?

 そうか、藤本教授もモジュラー化は避けられないとお考えか?私の認識ですと、複雑化の行き着く先の革命、単純化です。パラダイム転換といってもいいのかな。安易にモジュラー化に流れないというのが教授の主張。それでも、やはりいつかは来るということでしょう。たとえば、パソコンでインテルのチップとボード、マイクロソフトのOSが核となったように、自動車もなるとしたら。

 きっと働き方は変わるでしょうね。すりあわせ(インテグラル)から、もっとブランドマネジメントとか、ファイナンスにシフトするとなると、必要となる専門能力や組織内の主導権もシフトするでしょう?そして、コミュニケーションの取り方もわかるに違いありません。「分業の協力」はどう変わるのか。米中韓から学ぶことが増えるのか、日本式のユニークさをどう活かせるのか。

2010/02/16

複雑化への対応は、働き方に影響をおよぼすか

 トヨタの品質問題。今週の日経ビジネスでは、「トヨタの危機 瀬戸際の品質ニッポン」と特集されています。

 その中で、藤本隆宏教授(東京大学)の寄稿がおもしろかった。製品の複雑化が品質問題を困難にしているということ。藤本教授は、日本の自動車メーカーの組織能力が複雑化への対応を高めてきた。しかし、ハイブリッド車のような複雑な製品のもたらす負荷と組織能力のバランスが一時的に崩れたのが、今回の現象だというわけです。なるほど。

 負荷と能力の不均衡とは、こんな理解でいいでしょうか。物事が複雑になりすぎると、カレンシー(この場合情報)の交換が滞る。組織内の相互影響力が下がれば、改善の速度も遅くなり品質問題につながるに違いない。例えば、「もうわけがわからない」から、問題が放置されるといったことです。

 私の関心は、このようなときでも製品の複雑化が進むのだろうか。それとも革命がおこって一気に単純化するのだろうか(例えばすべてが電気自動車になってしまう)、という点です。複雑化が進むなら身内で仕事する方が有利でしょう。優秀な人間を囲い込んで、若いときから教育する。その会社でなければわからないような専門用語まで駆使して仕事をする。サプライヤーには自分の言葉(専門用語)で話しをさせます。容易にまねができないので、他社は追従が難しい。現在のトヨタのハイブリッドが、この典型でしょう。でもこれが単純化したらどうなるのか?

 きっとこれまでとは全く異なるカレンシーが交換されるようになるだろう。勉強していれば誰でも知っている言葉で話され、どこの会社でも同じような技術能力を持つようになる。そう考えると、実はわくわくします。今のトヨタの問題は、仕事の仕方まで変えるかもしれない。キャリアの視点もより短期間になるかもしれない。終身雇用が本当に終わりを告げる時を、今観ているのかもしれない、などと考えています。

2010/02/15

非暴力

 映画「ガンジー」をテレビで観ました。観たと言っても、後半たまたま見えていたという感じ。途中休憩が入る大作です。ベン・キングズレーの演技がすばらしい。あらためてマハトマ・ガンジーの非暴力を思いました。

 印象的だったのは、悪魔は心の中にいる。だから闘いは心の中でするというくだり。現実には、心の中の闘いは厳しいものです。私も顔を背けたくなる。しかし、実際、心の闘いから目を背けない人が他者を動かしているのです。相手の心に届くカレンシーを渡せるからです。
 ガンジーは、イスラム教徒とヒンズー教徒が衝突したとき、ハンガーストライキでそれを止めました。イスラム教徒に我が子を殺され報復したヒンズーの父親には、「地獄に行かない方法がある。それはイスラム教徒の子供を我が子にして育てることだ」という。父は救われました。心の闘いに臨めるでしょう。なんというカレンシーか。

 真の影響力は、自分との闘いですね。

2010/02/14

ああ、統合2

 今度は、新生銀行とあおぞら銀行が破談に。

 キリンとサントリーは、企業風土の違いが際だっていました。前者は三菱、後者は個性的なオーナー企業。それゆえの難しさを感じました。今回は、ともにもと政府系金融機関。とはいえ、ともに投資ファンドが株主となると、これはこれでやっかいな問題があったのでしょうか?

 いずれにしても、組織と組織のインターフェイス部分は難しい。本気で生き延びようとしない限り、どうしても「自分に有利に」「株主に有利に」という思いが働きます。組織内では「なんとかなる」という風潮だったのかな。ともに5年後、10年後にどうなっているかわからないと見られているだけに、対応が気になります。

2010/02/11

SNS

 FacebookとLinkedInとTwitterを、いっぺんに始めました。
 
 私のリソースを、どうみなさんに使っていただけるかのチャレンジです。それぞれが連携しているところもあり、つかえるかな?ネットワークがどう拡がるのかも、予想できないだけに楽しみです。

2010/02/09

無財の七施

 仏教では、財産や地位がなくても人の役に立てる、布施ができると考えます。仏教について教えをいただいている山田忍良先生から、無財の七施について教わりました。先生とお話ししているとたびたびこの話が出ます。

 七施とは、眼施、和顔施、愛語施、身施、心施、牀座施、房舎施です。
眼施とは、温かいまなざしを向けること。和顔施とは、笑顔を施すこと。愛語施とは、温かい言葉をかけること。身施は身体で奉仕する。心施は心配り、牀座施は席を譲ることで、房舎施は雨露しのげる場所を提供すること。

 いずれも、「影響力の法則」ではカレンシーと呼ばれているものです。影響力では返報を考えている。施せば協力が得られる。しかし、現実には何も得られないことが少なくない。がっかりしますよね。ところが、仏教に触れると、カレンシーが帰ってこなくても、その分自分の成長につながるのだ、と考えられます。

 日々の積み重ねが、人生であり、キャリアであると、改めて感じたしだいです。合掌

2010/02/08

ああ、統合

 キリンとサントリー、統合できませんでした。昨年お目にかかったM&Aの専門家が、「ムリ」と言っていたのを思い出しました。残念だな。サントリーの創業家が問題になることはわかっていたはずなのに。これはちょうどピクサーのオーナー、スティーブ・ジョブズが、ピクサーをディズニーに売ったら、筆頭株主になった、というのに似ています。キリンが鳥井家、佐治家の所有を嫌ったのでしょうか・・・

 いずれにしても、厳しい影響力が問われる場面。それぞれの立場から考えたら、上場とはいえ持ち合いが残る日本企業では、難しかったのか。両社の代表からなるプロジェクト・マネジメント・オフィスがあったはず。苦労が忍ばれます。

ナノテクノロジー

 NHKでジェームズ・ジムゼウスキー教授による「未来への提言」を見ました。教授はナノテクノロジーの大家。原子レベルで見ることができる電子顕微鏡の発明者です。ナノテクノロジー自体は、世界に大きな変革を起こすことを期待されている新しい技術。原子スイッチなど興味深いものも多々ありました。

 禅にも通じているジムゼウスキーの話しで印象的だったのは、ナノテクノロジーは全体の中で見なければならない、ということ。一部だけを見ていけば全体に対して無責任になるという。原子レベルの技術を追求する博士ならではの世界観と感じました。これは会社にもあてはまりますね。一部を仕事の部分としても、個人としてもぴったりです。耳が痛いですね。

 最後のメッセージは、子供たちの将来を見据えよ、といったものでした。そう、仕事も個人も未来につながっていなければ!

 私たちは歴史の中にいかされていることを忘れてはいけないな、と思ったしだいです。

2010/02/07

朝青龍の引退

 朝青龍の引退は残念ですが、技を持ったプロがその力を土俵の外で使ってしまったのですから、これはやむを得ないでしょう。皆が言う「勝つだけではだめだ」というのもよくわかります。横綱は受けて立たなければならない。横綱相撲ですね。だれもそれを彼に教えられなかったのかと考えるとは、本当に惜しい。たぶん、最後まで横綱相撲の意味がわからなかったのでしょう。

 仕事についての前提、キャリアの成功についての前提は、人によってずいぶん異なります。
 結果を出せばいい、と考えている人もいれば、仕事を通じて人間的に成長することが目的だと考える人もいる。マックス・ウェーバーによれば、プロテスタントの地域が資本主義の経済活動でリードしたのは、お金を稼いで豊かに暮らせるのは、神に認められている証、との認識されていたからです。まあ、今となってはいささか単純な気もしますが、アメリカにおける成功話は、そうして蓄えた財産を人々に施す話しが多いですよね。カーネギーしかり、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットしかり。ビジネスでいい結果を出せば認められるのは現実だし、結果そのものが目的となるのは当然と思われますが、すべての人がそう考えるわけでないのは興味深いところです。

 対して日本では、仕事を通じて人間性を磨く、という話しになる。日本航空の会長になった稲盛和夫氏が最近では代表格です。ホンダの元社長、久米是志氏はものつくりに仏道を見いだしています。思いを尽くせば「無分別」の状態となり、初めて良いものができる。自分と対象物が一体になるまで魂を注ぎ込むと、いいものができ、結果儲かるときもあると。自分を捨てよ、といっているわけです。うーむ。そのようなイデオロギーは江戸時代からあった。たとえば、三河の城持ちだった鈴木正三のように、ビジネスが仏性と結びつく話しは少なくないですね。

 このようなアプローチが日本独特のものかどうか定かではありませんが、「相撲道」があれば、やはり相撲における成長が人格の成熟に結びつくのは必然と感じます。しかし、これを理解するのは必ずしも容易ではない。朝青龍の事件にも、難しさを感じました。若者の意識も確実に変わっています。それがいいのかどうかは・・・・。私は「仕事を通じた人間の成熟」の方に魅力を感じています。

2010/02/06

人をよろこばせたい

 オリンピックも間近。選手のなかには、みんなを喜ばせたい、という人が少なくありません。それでいいの?

 人を喜ばせたい、という若者は大勢います。いい心がけだと思います。やはり仕事は人に喜ばれることに意味があります。しかし、喜ばれることに満足してしまうのは、かわいがられたい、認められたい、というところがどこかにある。そういう若者は話してみるとどこか緩いな、と感じます。自分のためにやる、という学生もいる。それはそれでどこか品がない。私は一緒に仕事したくないかな。これは、と思うのは、人のために自分を捨てられそうな若者です。

 そういう意味では、中年の星、葛西、岡崎らに期待します。自分を捨てている。若い選手には、恐れることなく頑張ってほしいですね。

2010/02/05

すばらしい上司

 すべてを知っていて、何でも答えてくれる上司。自らはリスクを冒しながら、部下を安全な場所へ案内する上司。部下が困っていれば救いの手をさしのべてくれる上司。責任をひとり背負ってくれる上司。多くの部下たちはこう考えるようです。セミナーで尋ねると、このような回答が多いのです。

 ところがこれらは、上司から見ると、必ずしもいい上司ではない。もちろんかっこいい。こういうリーダーになりたかった人はいるでしょう。しかし、これでは部下の責任感が育たず、能力を引き出せませんし、なによりこの激しい変化の時代、生きぬけないですよ。過労死してしまう。

 部下の側も上司の立場を理解する必要がありますよね。

2010/02/04

トヨタの対応

 私は基本的にトヨタを養護する立場にあります。しかし、プリウスのブレーキ問題。公表せずにこっそり1月生産分から改善していた、というのはいただけません。(日本経済新聞他
 豊田社長就任後初の主要製品に問題があってはいけない、と考えたのでしょうか。興味深いところです。

 一般にヒロイックリーダーのもと、部下たちは上司の顔色を見ながら、いろいろと気を遣います。しかられるぐらいなら先に手を打っておこう、と気をまわすところがあります。それが裏目に出る。一部経済誌をみると社長が「天皇」になっているのかもしれませんが、おうおうにして部下が上司を勝手に「天皇」にしてしまう。

 早い、適切な対応がとられ、トヨタブランドに大きな傷かつかないことを祈ります。

2010/02/03

心柱を見つける

 大阪出張の移動中、京都東寺を訪ねました。ちょうど五重塔ご開帳にあたり、久しぶりに心柱にお目にかかりました。

 東寺五重塔の中心の柱、心柱は、大日如来に見立てられています。柱が仏像に相当する仏様になっているのです。その心柱の周りを宝生如来ら他の四如来と八菩薩が固めており、立体曼陀羅になっています。

 密教をよく理解しているかどうか、自信はありません。ただ、私の認識では、だれにでもあまねくは大日如来が遍在する、と考えるのが真言密教だと考えています。
 であるとすれば、私の心にも、あなたの心にも大日如来がある。心柱のように。しかし現実には悩みや苦しみから離れられない。それは如来が見えないから、愛と欲に執着し、人生困難だらけで、悩みがつきないということ。そこで、心柱が見えるように、右から左から様々な見方を示唆することが、教育やカウンセリングの仕事であることになります。

 五重塔心柱と対面しながら私が考えたのは、こんなことでした。

今年の計画ふたつ

 今年は若者に対するサポートで、今私にできること、フェリスで人気の授業(自分で言うと可笑しいですが)「私のキャリアを考える4」の短縮版を、キャリア・エンパワメントを通じて提供する計画。これから社会に踏み出そうとする人たちに、勇気と気構えをもたらしたい。キャリア・エンパワメントにとっても一事業となるでしょう。

 もうひとつは、「影響力の法則ワークショップ」。直面する問題について、話し合って解決するグループを開催する。
 以前カウンセリングを学びにいったニューヨークの「論理療法研究所(現アルバート・エリス研究所)」では、Friday Night Workshop といって週末にワークショップを実施していました。エリス博士(20世紀後半最大の心理学者のひとり)自ら行う2-3のカウンセリングを目の当たりにして、自らを振り返ろうというものです。またみんな互いにアドバイスしあいます。最後に参加したのは2004年でした。晩年すでに90歳を過ぎ耳もほとんどきこえなくなったエリス博士のカウンセリングは、しかし気迫に溢れており150名ぐらいの聴衆が耳を傾けていました。ワークショップが終わると、クッキーとドリンクでおしゃべり、とネットワーキングを楽しむのです。
 これにちかいイメージを描いています。私のやり方では10人ぐらいが参加できる、出入り自由のグループで、その時抱えている問題を「影響力の法則」で解決していく。昨年幹部養成プログラムで成功した方法です。そんなワークショップを週末の夜に。

 今から楽しみです。

2010/02/02

刑事コロンボ

 NHKで「刑事コロンボ」名作集、のような企画をやっています。コロンボと言えば、よれよれのコートだったり、帰り際に「それからもうひとつ」だったり、相手の心をつかむのは実にうまい。相手の言葉で話すのも、影響力の法則にかなっています。たとえば、今日のように相手が写真家であれば、とにかく写真の話しをしちゃう。それもしつこく。すると相手がつい口をひらいてしまうのです。ここはカレンシーの交換、と考えてみると大いに興味深いものです。「自分の言葉で話しかけてくる」と感じるだけで、相手にとってはカレンシーになっているということです。

 まずは、相手の使う言葉をよく理解することが、相手の心を開く条件になるんでしょう。もちろん、よれよれのレインコートもありだと思いますが、ちょっと勇気が要りますね。

2010/01/31

大人の姿勢〜キャリア教育について

 NHKニュースによると、文部科学省は社会人としての素養を大学で学ばせるよう、大学側に求めるのだそうです。就職した会社をすぐに辞めてしまう若者が多いための対応と報道されました。(残念ながら文科省のサイトを見てもどこにあるかわからない、議事録などがもっと早く見られると、ニュースの後にすぐ見られるのですが)

 私は大学でキャリア教育を担当させていただいており、複雑な気持ちでこの報道を見ました。こうして役所からの求めがあれば大学は積極的に対応するでしょう。しかし、仕事が続かない若者が増えていることへの対応を大学側にばかり求めるのが妥当とは思えません。
 企業が以前よりも人材育成に力を注がなくなっていることは、周知の通り。企業側も余裕がなくなっているのです。終身雇用は崩れていますし。それは仕方ないにしても、現場の人材マネジメントの問題も認める必要があるのではないでしょうか。私の知っている日本の現場の問題は「親身に指導する、ただしその方法にばらつきがあって、苦労する部下がいた」でした。でも今は放置ですからね、冷たい。「自己責任」とか言われて、何もできない上司の犠牲になっている。だから辞めるんじゃないんですか。それも「冷たくされたから」ではなく、「こんな大人の世界がばかばかしいから」なんじゃないかな。
 若者たちは、大人が裸の王様だって見抜いています。

 大学にキャリア教育を、というのは結構ですが、一方で大人がキャリアの姿勢を示さなければ、教育するほどに現実とのギャップは拡大、ますます大人の世界がばかばかしくなってしまうよね。「今の大学生は少子化の中で大事に育てられ、自ら人生を切り開くことができない学生が多いと感じる。大学側は単に就職活動の支援をするのではなく、学生に生き様を考えさせるような指導をする必要がある」との黒田壽二氏(中教審委員 金沢工業大学総長 NHKニュースより引用)のコメントに賛成。それだけに問われているのは、大人の姿勢だと思います。

2010/01/30

明石氏の交渉2

 明石康「独裁者との交渉術」はおもしろかった。やはり相手を動かすには、相手のふところに飛び込まなければならない。あらためて感じます。彼は相手と交渉するためであれば、戦闘地域にも乗り込んでいきます。目的が和平にあれば、その軸はずれません。対してメディアは相手は極悪非道の独裁者だから、そんな奴らと交渉するのは弱腰だ、とくるわけです。

 さて、こういう話しは会社にもありますね。私たちは自分の邪魔になる人は、「わからずや」「バカ」「性格が悪い」と思えてきます。まあ、そうかもしれない。ところがそう思ったとたんに、話す気がなくなってしまいますから、結局何も変わらないとなる。

 相手を動かすには、目的を見失ってはいけない。仕事にも適用できることです。

2010/01/28

明石康の交渉

 この人の本は読んでみたかった。ちょうど『「独裁者」との交渉術」』(集英社新書)が発売されたので、お客先からの帰りの電車で読みました。まさにInfluence without Authorityです。まず現実的。紛争回避が最大のミッションですから、そのためなら国連本部とも対決する。部分空爆も避けない。あいての懐にどんどん飛び込んでいく。ポル・ポト(本人とは直接会っていないが、側近と)、ミロシェビッチ、など独裁者にも会いに行く。欧米のメディアに非難されても。結果、彼が行くところ調停が進む。

 その中で、今日はひとつ。相手を敵とは思わないこと。敵と思ったら動かないそうです。これはInfluence without Authority「影響力の法則」第一の法則だ。私はこういう話しが大好きです。

 木村元彦氏(ジャーナリスト、「オシムの言葉」著者)のインタビューもすばらしい。まだ残りがあるので、明日の移動が楽しみ。

2010/01/27

厳しい会社

 昨日投稿の日本電産を始め、昨今元気な会社はいずれも厳しい組織だと言えます。トヨタ、京セラ、キーエンス、リクルートなどなど。学生には、会社訪問で厳しい雰囲気の会社を選びなさい、その方が自分が伸びる、と述べました。

 悪くないアドバイスでしょ?

 今日で今年の授業は終わりました。あとは、採点です。

2010/01/26

日本電産の採用

 日本電産はモーター・デバイスの世界的なメーカーです。このたび「日本電産 永守イズムの挑戦」(日本経済新聞社)を読みました。京セラ、オムロン、堀場製作所、村田製作所、村田機械(村田会長には「影響力の法則」を応援していただいています)と、京都にはいいものつくりの企業があります。日本電産もそのひとつ。創業者永守重信氏の個性的な人柄、M&Aによる急成長でも注目されています。これからしばらく勉強させていただかないと。

 さて、この本、とてもおもしろい本です。こんなトピックがありました。採用です。京都大学工学部の学生で他社に入れなくて受験してきたものと、有名大学ではないが日本電産に入社したくて来る学生のどちらを採用するか。日本電産では、もちろん後者であるそうです。前者は日本電産から内定をもらっても嬉しくもないだろう。対して後者は、大喜び、一家を挙げてお祝いするはずだ。そういう若者の方がよく働く。永守氏によれば「能力の差はせいぜい2倍、いい仕事をしようという意識の差は100倍、1000倍にもなる。だから意識の高い人を採る」と明快です。こうして高い組織力を発揮するのでしょう。

 これをカレンシーの交換で考えてみると・・・受け取るカレンシーが大きいと感じる人は、小さいと感じる人よりも、ずっと大きなお返しをしようとする。このお返ししようという意識が、実際にお返しできるまで、大きなエネルギーになるといえます。恩を感じている人、借りがある人の方がより大きな力を発揮するのには、こうした理由があると思います。
 ずいぶん昔、佐川急便のセールスドライバーは借金があれば即採用、とまことしやかにいわれていました。辞めないで頑張るからだと。今もそうかもしれません。たしかにそういう人の話は真実味があります。採用の際、恩を感じているとか、借りがあるとか、傷を負っている、そんな基準を入れるのありでしょうね。

2010/01/25

社長の影響力

 社の方針を繰り返し述べても、従業員が理解してくれるとは限らない。社長の悩みどころです。なぜ、届かないのか。その一つの解が、カレンシーの不均衡にあると言えます。

 日頃からネガティブなカレンシーを受け取っている、と感じている人は、これ以上受け取りたくない。例えば、会社にこき使われてとんでもない、と思っている従業員なら、上長の話を聞かないでしょう。これはカレンシーの不均衡ゆえの反応と言えます。問題は、カレンシーが主観的なものであること。相手にちゃんと渡さなければ、価値がありません。そこで相手の立場を考え、受け取りやすいように渡すことが肝心。

 外資系企業の外国人エグゼクティブにありがちなのは、社の方針は伝えれば理解されるという誤解。我が国のサラリーマンは、目標や方針をいくら伝えても受け入れないことがある。キリスト教圏の人たちにとって、おそらく方針はCallingすなわち使命なのでしょう。それに対して、私たちは方針にどんな意味があるのか、トップは本気なのか、裏付けを求めたくなるように思います。この点が外国人幹部にとっての難しいところかも。以前社の方針を従業員に教育していたとき「ちゃんと教えているのか?」と責められたことがありますが、あの手この手を使わなければ方針を受け入れないので苦労したのは事実です。

 「神」のような裏付けがあると、もっと交換やコミュニケーションがラクなのに、と思ったりもします。

2010/01/24

日本の命運?

 NHKスペシャルは、日本のビジネスの命運、といったタイトルで、かつて世界No.1だった日本のテレビ産業の努力について伝えていました。現在では日本メーカーのシェア36%ぐらいなんですね。かわって韓国らアジア勢が50%をしめるようになってきています。日本メーカーは多機能化、あるいはモジュール提供にシフトとしようとしているようです。

 前者は多難かな、という印象を受けました。セルプロセッサーによる超高機能テレビはそれなりに魅力があるものの、本当に求められているのかなあ、と。すぐに追いつかれてしまうし・・・。ただ、複雑化に伴い社内外のコミュニケーションが頻繁になっていることには目を奪われます。現場での改善(設計後という意味だと思います)が、3000件を越えたということですから。大変な組織能力だと感心しました。

 一方、ラジオモジュールをテレビに内蔵する、というJVCケンウッドの提案は、従来の完成品メーカーにはない提案です。中国の製造メーカーに売り込み、その企業の顧客に食い込もうとしていました。そうして、ともに利益を分かち合おうというわけです。このような提案ができるということは、この会社はリストラの効果が出ているのかもしれません。

 いずれにせよ、優れた頭脳が求められることにはかわりありません。外国も含めたタレントを統合する組織能力はいよいよ必須。個人も専門能力を高めると同時に、いかにして自らの専門知識をつかって影響力を発揮するかが問われている。番組のメッセージをそのように理解しました。やはり、貴重な若い力を活かしましょう!

2010/01/22

すごく気を遣っている

 今日お目にかかった女性は、周囲を和ませみんなを活気づける魅力的な方でした。あるとき「きみは同僚にすごく気を遣っているのだけど、気付かれていないよね」と上司に言われたのだそうです。「報われていない」と。こんな話しをして下さるということは、まわりを元気づけるのにお疲れだったのかもしれません。

 このケース、興味深いのは、この上司の方は彼女がとても気を遣っていることに気付いていることです。おそらく同僚も感じているでしょう。でもそれがはっきり表明されていないか、あるいは気付いていないか・・・。

 この場合、同僚に「私の努力をどう思いますか?」と尋ねてみるのが第一案。カレンシーの状況を把握するのは、正攻法と言えるでしょう。第二案は、思い切って相手に求めてみることです。同僚が、「カレンシーを受け取っている」と感じていれば、お返ししたいと思っているはず。仮にそう感じていなくても、重荷を背負った同僚がその荷を下ろそうとしている、と思えば協力したいでしょう。そこに「私、頼みがあるのですが・・・」と言ってみるのは、実は相手に助け船を出していることになります。つまり、相手に求めることがカレンシーになる場合もあるということです。

 これは、昨日の投稿に続くお話し。特にまじめな方ほど勇気が要ると思いますが、有効な発想の転換だと思いますよ。

2010/01/21

助けてと言えない30代

 今日のNHK「クローズアップ現代」(“助けて”と言えない~共鳴する30代~)では、30代の若者が他人に助けを求められない、ということが報道されていました。テレビに出てくるのは本当に人の良さそうな男女です。少なからぬ若者がホームレスでいることを見て、あらためて衝撃を受けました。番組の分析は、自己責任を強いられた世代が一人で抱え込んでいる、というものです。この分析のぜひはともかく、たしかに一面をついているのでしょう。

 私が思ったことは3つ。まず、論理療法がよい、ということです。登場する助けを求められない若者は「すべてを自分で処理しなければならない」「自己責任を果たせない私はだめ人間である」というイラショナル・ビリーフをもっています。彼らは自分の無力を裁いていますが、論理療法では人は人を評価できないと教えます。なぜなら人はみな同じ次元にいるのですから。異なる次元にいるのは神です。イラショナルとは神になろうとしていること。それは合理的な考え方ではありません。この考え方を変えないといつまでも苦しんでしまう。論路療法派の私としては、一般的な認知行動療法では不足で、ここは人生哲学を教えなければならないと考えます。國分康孝先生の各著作を読むと良いのではないでしょうか。

 次いで考えたのは宗教です。北九州で若者のホームレスを支援する牧師が出ていました。今日はキャリアについて教えており、「日本には日本独自のキャリア開発があるな」と考えていました。仏教的なアプローチです。しかし、番組に登場する若者たちに必要なのは、むしろキリスト教だと感じました。自らを裁くことを止める、そして「絶対の愛」と向き合う。これはキリスト教の世界です。ただ、五木寛之であれば、浄土真宗もよい、ということになるかもしれません。

 そして、人間関係の本質を教える。つまりカレンシーの交換で人間社会が成り立っていることを理解させること。他人に助けを求めるのは、普通に考えれば相手に借りを作ることになります。カレンシーを渡すと返したくなる、というわけです。しかし現実は、そう単純ではありません。助けを求められると「役に立てるんだ」と嬉しくなることもあるのです。カレンシーを下さい、ということが相手にカレンシーを渡すことになる場合があるといえます。たとえば、高校生の子供に相談を持ちかけられる親は嬉しい。ここがおもしろいところなんですが、人間関係が上手く築ける人はこれを知っている気がします。なかには甘えっぱなしの若者もいますから、一概には言えませんが、このあたりの人間関係の妙を、年長者は教えてあげると良いのではないでしょうか。

 いずれにしても、若者にこれからに光を!というのが私の願いです。

2010/01/20

新入社員の意識2

 この時期就職した若者の立場で考えてみましょう。就職難、そのなかでつかんだ仕事です。もともと能力のある若者たちでしょう。将来のことを考えるより、まずはこの仕事を手放さないことを考えるんじゃないかな。さらに、
1 将来の経済的な発展が見えない
2 高齢化社会を支えるのは自分たちだ、と感じている
3 将来に備えて、あれもこれもやらなくっちゃ、勉強しなくっちゃ、というムード
4 不安定な社会 まずは身内を固めよう
5 資格をとって、どこでも働けるようにしておこう
6 親は過敏に反応 そのプレッシャーは大きい
7 他の友達も保守的 ここで目立つのはリスキー
8 会社が与える目標は入社1年目でまだ低い その点はラク
9 とはいえ、いつでもここから脱出できるよう準備しよう
10 上司から言われたことだけやっていればいいでしょう・・・・

どうでしょうか?

2010/01/19

新入社員の意識1

 日本生産性本部の調査によると、昨春入社の新入社員“「人より多くの賃金を得なくとも食べていけるだけの収入があれば十分」とする回答が、「そう思わない」とする回答が52.9%いるものの、過去最高(47.1%)”なのだそう。同じ調査の結果を見ると、“「仕事をする上で上司・同僚が1番目に大切だ」とする回答が4年連続して増加し、過去最高(30.2%)”ということは、お客よりも身内か!!学生と話していても自分の身内重視と感じます。自分中心なのかな〜。

 そんな部下が自分と同じだと思っても働かないでしょう。しかし、そうはいっていられません。言われたことしかやらない若者を、どうやってやる気にし、顧客や組織に貢献させるか。(つづく)

2010/01/18

小沢氏を動かせるか

 民主党幹事長小沢一郎氏は難しい状況に立たされています。真実はわかりませんが、いろいろあるのでしょう。しかし日本経済新聞を見ると、党内に小沢氏に何か言える人はほとんどいないようです。これまで小沢氏に頼り切っている議員が多いのだと思われます。言い換えるとカレンシーをもらいっぱなしなので、逆に何もできないのだと言えるでしょう。そんななか小沢氏に批判的な「七奉行」なるグループが現実的な対応を試みているのは、頼もしいと言えます。

 さて、私たちが小沢氏の配下にあって、この”独裁者”に検察の捜査に協力するよう進言しなければならないとしたらどうしましょうか。一つ間違えればどんな冷や飯を食わされるかわからない。慎重に進めなければなりません。どうしましょうか?

 まずは、小沢氏の立場に立って考えてみましょう。
1 彼はなぜ俺だけが、と思っているかもしれません。彼の恩師田中角栄氏も金の問題で政治生命を絶たれました。氏から見れば検察の陰謀に見えてしまうのかもしれません。検察当局への対決姿勢をあらわにしていますね。
2 一方あのような一見豪傑でも、今夜は眠れないかもしれない。側近が逮捕されていくというのは相当なプレッシャーのはずです。ところで、彼の大きな目標は、政治改革と言われています。たぶん、そのために金を集めていたのでしょう。
3 小沢氏は実は理想主義者であるとも言われています。問題意識も高い。官僚支配を打破するというのは、彼の政治家としての大きな使命のはずです。しかしこのままでは、その政治改革がとまってしまう。焦るでしょう。
4 党内外のだれが敵か、疑心暗鬼にもなるでしょう。
5 彼の政治スタイルを大きく変えることは難しいかもしれません。この方法しか知らないのですから。
などまずは思い浮かびます。

 彼を動かせるとしたら、「こいつは味方」だと確信されることが前提です。そのような真の腹心を相次いで検察に奪われてしまった。となると、今こそ信頼できる人材を求めているはずです。また、彼の考える政治改革を進めることを請け合う必要もあるでしょう。党内結束して必ず成し遂げると。ただ、それらを実績で示せないと難しいかもしれません。おそらく疑り深い人です。そういう意味では、これまでの実績も重要。それこそ「七奉行」の話しなど聴きません。私にはもちろん無理です(笑)。
できるとしたら、管財務相ぐらいでしょうね。小沢氏の懐に飛び込み氏を支えようという態度を維持しつつ、また小沢氏と目指す方向が似ていながら、全く異なるアプローチで実績を積み、微妙な距離を保っています。小沢氏がもっとも買っている人物かもしれません。小沢氏を動かそうとしたら、管氏のような関わり方が有効、と考えています。

 さてどうなるか。

2010/01/16

教養の意味

 田淵秀乙さんが経営されるコンサルティング・ファーム、パスカルの設立10周年セミナーに参加しました。田淵先生は灘高、東大、通産省、マッキンゼーという秀才中の秀才。知的刺激に溢れるセミナーやコンサルティングを提供されています。10周年のセミナーも、大脳が活性化する実に面白いもので、若い方々にも大人気です。

 今回、改めて思ったことに、現実、事実を直視することの重要性があります。私たちは自分の望むように相手を見てしまう。だから、上司にも、部下にも、配偶者にも、我が子にも、自分の基準から見て欠けているところばかりが目についてしまう。しかし、客観的な事実は、別に表現されるものです。観察こそ、問題をつかみ先に進める一歩。理系出身の先生のお話から、改めて気づかされます。これは科学の心、科学的なパースペクティブですね。

 影響力をおよぼせる人の説得力は、こんなところにもあるのです。知識をカレンシーとして惜しまず使うことが大切でしょう。

2010/01/15

翻訳を進めています

 「影響力の法則」(現代"Influence without Authority")に次ぐ、Cohen & Bradford共著書"Power Up"を翻訳しています。エンパワメント、参画型リーダーシップを真に進めるには、リーダーシップの方法だけでなく、その前提となる考え方をチェックしておく必要があります。ここでは、ヒロイックリーダーシップ、ポストヒロイックリーダーシップ、という二つの概念を比較することによって、私がちが抱いているリーダー観を明確にします。また、リーダー・フォロワーの関係にフォーカスしているという意味でも、これは発想の転換です。

 部下が働かないとお感じの管理職、上司のリーダーシップが不足と感じているあらゆる階層のみなさんに、役立てていただけると思います。もちろん、多くのプロジェクトリーダーにとっても。

 目標は4月刊行。今回も税務経理協会から発売されます。これまでの経験で学んだ翻訳を詠みやすくする工夫を、さらに加えて、お届けしたいと思います。

2010/01/14

釣りバカ日誌

 20年にわたる連作「釣りバカ日誌」が、今回の作品で最後になるそうです。言わずとしれた主人公と社長の釣りづきあいを描いた、コメディ映画です。鈴木建設という会社の仕事がどう動いているか・・・つい、観てきてしまいました。劇場で観るのは初めてです。

 主人公の浜崎(西田敏行)は仕事をさぼってばかりの、ぐーたら営業マンなのですが、実はよく売ってくる。今回もクライエントの引きこもる息子の面倒を見た縁で、ビル建設の案件を取ってきてしまう。お客さんに対して息子に対する接し方が良くない、と長々と説教してしまうのですが、そのおかげで相手は目を見開かされて浜崎に感謝する。ついでに、ビルの案件をこっそり教えてしまうというわけです。説教、というのがカレンシーになることって、結構あります。

 それから、やはり社長と主人公の交換。釣りを教えたり教えられたりしながら、主人公は社長にカレンシーを渡していきます。毎回社長(三國連太朗)が言うのですが、ほっとする家族の場所もカレンシーです。もちろんビルの受注も。その結果、社長から直接便宜をはかってもらい、好きな釣りを楽しむ。

 やはり、ビジネスも組織の人間関係もこうだよな、とあらためて感じますし、カレンシーの交換で仕事が動いているのは、洋の東西を問わず普遍的な原理と言えるでしょう。私には社長シリーズより勉強になりました。

 もちろん、笑わせてもらいました。1000円なのでおすすめ。見に行くべき、なんですけど、今日もお客さんは全部で4人でした。もったいないな。

2010/01/13

日航CEO

 稲盛和夫氏が日本航空のCEOに内定しました。稲盛氏のことはたびたび取り上げ尊敬する方ですが、高齢の稲盛氏にしか引き受けてもらえなかった(に違いない)難しいミッションゆえに、同情を禁じ得ません。役員、従業員から見れば、何の貸しがあるものか、他所様が来るところじゃない、と本音では思っているはず。大胆なリストラに、表では同意していても、本心は自分だけはと思いたいでしょう。そこを一人一人が各自の問題として受け入れさせるのが、リーダーシップです。稲盛さんでなければならなかったんだろうな、と思います。

 一方稲盛さんからすれば、国交大臣の後援会長だったかたですから、責任を共有せざるを得ない。また「日航を救うことが、日本を救う」と言われれば、「そうかいな?」と思っていても断れない。

 いずれにしても、再建がスムーズに進むことを願っています。

2010/01/12

スパコンの意義

 今朝の新聞に、フランスの「情報処理技術者」が円周率の計算の記録を破ったとのこと(日本経済新聞)。これまでの記録は筑波大学がもっていたので、母校が破られたのは残念ですが、その桁数が2兆7千億と聴くと驚くばかりです。

 苦笑を誘うのは、この記録をだしたのが「通常のコンピューターに5個のハードディスクを増設」しただけの、まあパソコンだということ。対して日本はたいそうなスーパーコンピュータでの計算だったそうです。これはどういう事なんでしょう?例の事業仕分けで問われたスパコンの存在意義のこと、あらためて思い出しました。

 スーパーコンピュータの存在意義について、国民の多くが納得するカレンシーを示す努力が、学術側には必要なようです。

公共の意識

 どこの町でも違法駐車は悩みの種でしょう。交通の妨げになるし、子供が陰にかくれていたら、などやはり安全上気になります。先日など左側のレーンを走っていて、前方を走行中のクルマが突然失速。何があったのか、と思ったのですが、そのままストップするとドライバーはクルマから降りてどこかに行ってしまいました。まあ、いろいろな事情があるでしょうから、お互いに寛容でなければやっていけません。

 残念なのは夜になると塾の送り迎えのお母さんのクルマでびっしりになることです。仮にも公道は公共の場所。そこを占拠して何食わぬ顔というのはいかがなものでしょう。お子さんの成績も気になるし、英語をやらせて国際人にしたいことでしょう。でも本当のインターナショナルな規範というのは、やはり公と私を明確に分けるところからきます。それでなければ、効果的なカレンシーの交換はあり得ない。だって、全部自分の世界だったら、他者との関わりを拒否していてもいいのですから。

 公共の意識を学ばせる勇気を、大人はもっていないとね。それにはお母さん任せにせずに、お父さんががんばらないと。

2010/01/11

高い目標

 この不況期にも高い目標を掲げる企業。ところがどうやら従業員はその目標にコミットしていません。トップの本気度が疑われているのか、そんなことムリだと思っているのか、今のままでいいと思っているのか。しかし、トップとしては挑戦的な目標に部下たちが本気で取り組まなければ、達成はおぼつかない、部下を信頼していいものかどうか、ジレンマにたたされていることでしょう。

 これは大変な交換です。部下から引き出したいのは、挑戦へのコミットメント。何と交換しようか。外部の人間としては、リーダーがカレンシーを持ち出して交換するようにコミットさせ、励ますこと。また部下たちがリーダーの本気度を感じ、同僚同士がカレンシーの交換を進められるよう手助けすること。これから計画を立てていきます。

2010/01/09

トヨタのコメント

 トヨタの豊田章男社長の記者会見時のコメントが、9日朝の日本経済新聞に載っていました。いわく「暴風雨は抜けた」です。トヨタの早期の立ち直りには、多くの国民が期待していることでしょう。

 その中で気になるのは、「トヨタはアライアンスはあまり得意ではない」です。他社と連携していくよりも、傘下のダイハツ、日野、デンソーなどとの連携強化で乗り切ろうとしているとのこと。スズキがVWと、三菱自動車がプジョーと提携を進めるのに対して、トヨタは独自で行くということですね。これは「多様性は拒否します」「身内になれば協力します(外のことは存じません)」と言っているようにも聞こえます。「弊社はマネジメント力不足なんです」、が本音と受け取る人もいるでしょう。

 真意はわかりませんが、私は社長のご謙遜と考えたいですね。

日本GEの取り組み

 「日経ビジネス」1月11日号「時事深層」に、“殺し文句は「中小を世界へ」”というGEの取り組みが書かれていました。宮城県と組んで、県内の中小企業を世界のGE技術者と結ぶというイベントです。以前も聴いたことがあるのですが、GEは世界から投資の機会やリソースを発掘することに大変なエネルギーを注いでいるようです。人材ではグローバルにリーダー候補者を捜していますし、土地、技術など、投資の機会には敏感で、世界中の優秀な社員を駆使してチャンスを探しています。この記事によると、地方に埋もれた中小企業の技術を発掘するのが目的だとか。多くの日本企業と従業員が、大企業や既存の取引先との継続的な取引を好むのに対して、GEのオープンさには感心します。そういえば、日本のベンチャー、例えば京セラのような会社でも海外で認められて成功したのでしたね。

 興味深いのは、このチャンスにGEが自社製品を宮城県に営業攻勢をかけていることです。医療用機器など県内の病院に納められれば、会社にとってもプラスです。実にWin-Winのアプローチです。相手の利になるところを探していけば、いろいろなチャンスが見つかるはず。GEはビジネスに必要なカレンシーの交換をよく理解しているのでしょう。彼のグローバル企業が、世界的に尊敬され大きなインフルエンスを発揮しているのは納得できます。

2010/01/07

我田引水

 我田引水とは、「物事を自分の利益になるようにひきつけて言ったり、したりすること(広辞苑)」だそうです。

 今朝の日本経済新聞には竹中平蔵教授の論文があり、勉強になりました。でも、後半に、現在の状況に対する処方箋として「国民がもっと経済リテラシーを高め、責任をもつこと」とあり、いささか苦笑させられました。私だけではないと思います。

 竹中先生の論文には「国民がわかっていないからダメなのだ」というニュアンスと、ご自身の専門の経済学に触れれば解決する、という単純化が見えて、ああこれがきっとすばらしい人なんだろうにあまり好かれない理由なんだな、と思いました(私は先生のことを好きでもきらいでもありません)。そして「我田引水」という言葉を思い出したのです。

 私も、みんなが「影響力の法則」を読んでくれたら、もっと組織の問題が減るだろうに、とか考えています。しかし、何でもかんでもここに引っ張ってくるのはかえって問題の解決にならない、と考えてしまいます。人によって抱える問題の本質は異なりますし、見立てが済むまでは解決策を与えられないと。あからさまな誘導と、個別対応と、どちらが有効か・・・

 ひとつはっきりしているのは、竹中氏は国務大臣という大きな役割を果たし、国民の矢面に立ってリスクも負ってきたので、その言葉に従う人(カレンシーを返す人)が大勢いるということでしょうね。

2010/01/06

断食の成果

 昨年、成田山で断食を体験したのは、以前書いたと思います。たぶん・・・。私が体験したのは、3日間の最短日程でした。3日前ぐらいから食事を絞り始め、断食を終えてからまた数日かけて元に戻す。断食の後では、体調が良くなり、花粉症もなくなり、もちろん体重が減る。なにより頭が冴えて実に気持ちよかった。

 今日妻が言うのです。断食すると、外部から何も取り入れない。すると自分の中のリソースを使わなければならなくなる。断食の効果は、外からの借り物で生きるのではなく、自分自身の力で生きるようになることじゃないか、と。私たちの身体は、外部から食物として取り入れたものからできています。同時に取り入れたと同時に食物をエネルギーにしてもいます。過剰な摂取は、何らかの形で蓄積されている。そこを年末の大掃除のようにクリーンナップしてやると、身体が活性化してくるんじゃないか。

 交換の活性化にもなるに違いありません。

2010/01/05

強みの交換

 昨年末の授業で、学生に自分の強みを他の学生の強みと組み合わせておもしろいことをやるとしたら、という課題を出しました。これは過去の授業のなかでも、もっとも盛り上がったかもしれません。思いがけないアイデアがわく、意外性がおもしろかったと思います。私の意図は、自分の強みを他の人と組み合わせていけば、生きていけるんだよ、ということだったのですが、納得してくれたようです。

 歴史を見ても、資本家の資金と国家の軍事力の交換が、頻繁に起こっています。それで、国境を越えた連携ができるのです。例えばジェノバの商人は、スペインの軍事力と結びついて、地中海西部一体に事業を拡大します。交換できる強みがあれば、どこでも生きていけるはず。

 今年はどこで何と何を交換しますか?

2010/01/04

仕事始め

 今年の仕事始め。株価は上がったものの、雇用の不安は消せない。みんなが真剣勝負だ、と感じるスタートでしょう。

 鳩山首相の年頭会見。苦しいスタートとなった鳩山政権ですが、ステークホルダーが複雑に入り乱れて、簡単には決められない。沖縄の駐留一つとっても、おそらく史上初めて「基地反対派」が投票した民主党政権です。彼らの期待を裏切ることは容易ではない。とはいえ、すべての期待に応えることはできないのが現実で、リーダーはそのときの態度で真価を問われるのだと思います。つまり、ネガティブなカレンシーを相手に渡しながら、「おまえが言うんなら仕方ない」と感じさせるだけのカレンシーを渡さなければならない。


 昨夜は、親友の久保田浩史君と荒巻鮭を焼いて一杯やりました。今年の展望など話そうとすると、大河ドラマ「龍馬伝」が始まっちゃったりして、なかなか話せない。結局一升空けてしまいましたので、途中からどうしようもない話しになっていたかと思います。でも、少し”ぶっ飛んだところ”でやっていこう、という結論に達しました。常識外れを実現させるのが、テーマです。もちろん真剣勝負です。

2010/01/03

凧揚げ

 今年の正月、公園で凧揚げしている親子を大勢見かけます。いつの間にか和凧よりもゲイラカイトが主流になっていますね。昔ながらの目の描かれたものだけでなく、ディズニーのキャラクターなどカラフルな凧が、東京湾に面した公園の空を舞っていました。

 思い出したのは、私の少年時代、ゲイラカイトが日本に上陸した頃のこと。父と80メートルぐらいのたこ糸を3本ぐらい結んで200メートル以上にして飛ばしていました。すると、うちの凧だけが遠く見えなくなる。手にかかる風の圧力も強烈で、あれは楽しかった。昔の冬の思い出です。

 さて、気になったのは、凧揚げする本人と補助者との呼吸が合わないこと。いや、正確には、呼吸が合わないのではなく、両者がやるべきことをやっていないこと。凧を揚げるときは、糸を引っ張る凧揚げ主体と、凧をもって凧揚げを手伝うひとがいますよね。そして風を受けられるように、走りながら揚げるのではなかったでしょうか?しかし、走っている人は極一握り。多くは凧を放せば揚がると信じているかのごとく、何もしません。補助者が放すだけ。そして、地面に落下。

 何人もの親子や夫婦がこんな調子なので、奇異に感じたのですが、それは私だけだったでしょうか?
 もっと交換を!今年のテーマです。

2010/01/02

初詣

 初詣、とは「新年にはじめて社寺へお参りすること(広辞苑)」、です。私は今年も例年通りの"初詣コース"をたどっています。カトリック教会でのミサに始まり、実家近くの神社仏閣を参拝し、自宅近くの神社、最後は新勝寺を参詣します。

 今年は参拝者が多いと感じます。教会の新春ミサは、例年の2倍ぐらい見えていたでしょうか?神社でも多い気がしました。そういえば、年末クリスマスのミサで洗礼を受けたかたも、やはり多かった。それだけよりどころのないと感じられる、社会の現実の厳しさに直面している方が多いのでしょうか。

 私は、神頼みでもそれがエネルギー回復のきっかけになるのであれば、意味があると思います。コミュニティのなかで交換が起こり始めるからです。

 力を合わせてよい年にしていきましょう!

2010/01/01

明けましておめでとうございます

 新年を迎えました。家族と共に雑煮におせちをいただき、日本の正月の穏やかなスタートを切りました。

 一方世間の現実は厳しく、今年は一層の厳しい環境におかれるものと思われます。いただいた年賀状からもそれが感じられました。

 昨日、昨年最後の日本経済新聞「経済教室」は、田中直毅氏による「ドラッカーと経営 09年逆境を越えて(下)」でした(上は神戸大学の加護野教授筆)。氏の提言は「プロ活躍の場を広げよ」です。ここで言うプロとは需要側(受給者側)の満足度を第一に行動することを指します。
 なに、難しいことではないじゃないか、と考えがちですが、現実にはサービスの受託者(請け負い側)には組織に対する忠実義務があり、顧客の利益と相反することがしばしばです。規制緩和、受託者責任の厳格化のなか、さらには顧客層が新興国にシフトするなか、新しい顧客の満足を得られるだけの価値を創造するには、経営資源の効率的配置と、人材の多様化が不可欠になる、というのが氏の論点です。しかし、経営者は新しいプロ集団の活用、組織の多様性の活かし方を模索している段階であると。

 影響力の法則が組織に機能すれば、この問題への有効な処方となります。

 今年も「影響力の法則」でお役にたてるよう、努めて参ります。みなさまに生かしていただけることに感謝しております。

 寅年の2010年。協力してよい年にしていきましょう!