2008/12/20

プランド・ハプンスタンス理論

 クランボルツ教授のプランド・ハプンスタンス理論は、現代におけるキャリア理論の中心と言っていいでしょう。今日はこの理論を紹介した慶応義塾大花田教授の研究室に所属する塩川太嘉朗さんから、この理論について講義を受けました。NPO法人キャリア・エンパワメントの主催するキャリア理論学習会でです。
 「計画された偶然性」と訳されるこのキャリアアプローチは、終身雇用を前提としない点で現代的と言えます。黙っていてもキャリアが拓けていくわけではない時代において、多くの人に自分自身の考えを伝えておくことがキャリア発展の鍵。種をまいておけば共感する人、協力を申し出る人もいるので、仕事のチャンスが拡大します。このあたりは、「キャリアは死んだ」と言ったダグラス・ホールなどとも共通するところです。
 ここでは、いかに周囲の人に理解されるかが重要。また協力関係を築くという意味では、関係者との間で頻繁にカレンシーの交換が起こっていると考えられます。相手が受け取るカレンシー、つまり価値を提供していくという真摯な姿勢なくして、キャリアの発展もないといえるのではないでしょうか。種をまきながら、発育状態や土壌に合わせて肥料やら調整していく柔軟性も大切。ともに参加した、山本康博さん、人見隆之さんらの体験談をうかがって確信した次第です。
 塩川さん、みなさん、ありがとうございました。

2008/12/18

合併先との協業

 M&Aで統合された組織。メンバーは複雑な気持ちでしょう。先日うかがったのは、買収した会社の方ですが、上司は買収先の会社を警戒してか、態度を硬化させており、両者の協業をどうすすめたらいいのか、といったお話しでした。私自身もこれに近い経験があります。組織の改編に伴う人の移動は、頻繁に起こっているようです。それゆえに業務が滞ることもあるのでは?
 ここも、影響力の法則が役立つでしょう。基本は、相手の考え方、仕事への取り組み方を学ぶことでしょう。こちらから歩み寄ろうという姿勢は、逆に相手を歩み寄らせます。しかし、上述の状況では、かえって上司を警戒させてしまうかもしれません。そこで、あくまでも上司の味方であることを言葉と態度で示すことが重要です。上司の世界を考えれば、合併の結果自分の立場は不安定になっているのです。だから、安定化させたい。上司の立場を擁護することは、部下が上司に対する影響力を高めると考えられています。・・・そのうえで、共通の目標達成にフォーカスすれば、この難しい状況に有効でしょう。

2008/12/16

電車に御札・・・

 大阪出張から戻りました。夜人に会うため、京橋から北浜に向かい、また淀屋橋から京橋に戻りました。京阪電車、です。帰りは淀屋橋始発の快速特急で、これが2階建ての新しいデザイン。でも、なんとなくクラシックな雰囲気が「おけいはん」です。京阪って何度も乗ってないのですが、毎回驚かせてくれます。前に、窓がモーターで動くようになっており、スイッチの横に「パワーウインドウ」と書かれていて、驚いたことがありました。今回は・・・このモダンな特急電車に御札がついていたこと。
 ちょうど、車両のつなぎ目のドアの右上。よく「東急車輌製2000年」などと書いてある位置です。それもちゃんとケースに入っているのです。神棚、というほどではないものの、きれいな白木のケースです。近くまで行ってみたら、「成田山」とありました。お不動さんではありませんか!写真を撮りたかったのですが、優先席付近はケータイ禁止だったので遠慮しました。
 さっそくかえって調べてみると、京阪が大阪の鬼門にあるので、昭和9年に沿線に成田山を呼んだのですね。それで・・・のようです。

 それにしても琴の音の車内アナウンスといい、他のお客さんはヘンだと思わないのか、と見回してしまったぐらい。とても不思議な体験でした・・・(慣れてない私だけです、驚いていたのは)

2008/12/14

行動力、って?

 若手社員の行動力が不足している、中年もだ、などとよくうかがいます。そこで「モチベーション」をあげようと考えます。お金?昇進?家庭との両立?やりがい・・・モチベーションの源泉はさまざまでしょう。

 ここで、モチベーションとは異なるパラダイムを提示しましょう。それは、感謝の気持ちです!影響力の法則は、レシプロシティがその土台になっています。レシプロシティとは、もらったらお返しする、という社会通念。ああ、もらった、と感じることがポイントです。「手伝ってもらっちゃったな、ありがたい」と感じると、返そうという気になる。その力が相手を動かしている、というわけです。
 すぐれたリーダーは、ありがたいと感じることをしてきたか、いましているか、これからすることを約束しています。オバマ次期大統領は国民の期待を高めていますね。実はまだ何も応えていないはずですが、彼の現実的な対応に期待感が高まっています。(一方、我が国の総理大臣も一生懸命手を打ってきています。国民から見ればあまり実績を感じないのは、まだ始まったばかりだから当然ですね。ただ、オバマ氏との違いは期待でしょう。言動の重みなども関係します)この期待感に対して、何かしてやろうと反応したものが選挙での投票行動だったのではないでしょうか。つまり、期待感をもらった、そこでお返しする、と。

 さて、いいたかったことは、何かをもらってありがたい、という気持ちが、人を動かすということです。それは、特定の誰かにもらったというだけではありません。例えば「ご先祖からもらった命」「会社のおかげで」といった表現があります。大事なことは、もらったと感じていることです。ありがたいなと。そういう思いをしている人は、誰かにお返ししようとする。これも特定の誰かというわけではなく、次世代だったり、社会にだったり。年長者が「感謝の気持ちを持て」という理由はここにあると思います。感謝の気持ちがあれば、お返しという形で行動する理由になる。感謝したことないひとにはどうする?私は親のキャリアの話を聞くのがよいと思います。先生でもいいかもしれません。お世話になったに違いない人の話を伺うことで、自分が人の愛を受けてきたことをしる。その現実と向き合うのです。
 学生には、親にインタビューしてくるように、と課題を課しています。年明けにはレポートがあがってきます。このインタビュー自体の効果を、私はねらっているのです。毎回このレポートはとても楽しみ。大きく変わる学生もいますから。