2008/06/21

本気かどうか


 これからリーダーとして期待される数十人の人たちに、この2週間お会いしてきました。今週後半は体験学習(Project Adventure)を使って、リーダーシップ開発に臨みます。ところが、アクティビティのパフォーマンスは、いまひとつでした。
 最後に実施したのは、スパイダーウェブというアクティビティ。くもの巣のようにはられたロープをくぐって、チーム全員が反対側に抜け出すというものです。メンバー全員が協力に結束しない限り目標達成できません、ここまではかなりの結束を見せていたチームが、ここでくずれてしまいました。いろいろなアイデアが出てきても、なかなか実行に移せない。つまり、メンバー相互の影響力が低い状態です。
 今回感じたのは、結局のところリーダーがチームとしての成果を、本気で求めない限り、メンバーは動かないということです。昨日までのメンバーには、何かためらいのようなものを感じました。遠慮と言ってもいいでしょう。この遠慮やためらいが、他者に対する影響力を低下させてしまう。結果的に、思ったほど動かない。リーダーは、本気でなければならない、これで死ぬ覚悟も必要にちがいない。あらためて思わされました。
 では、この覚悟はどこから出てくるのでしょうか?どう思われますか?

2008/06/18

個人的な願望

 前日の投稿「無資格と有資格」には、コメントをいただきありがとうございます。しばしば「無資格」者のかたが、「有資格」者のかたに一人前として認めてもらえないと感じる、とうかがいます。一方「有資格」者のかたからみると、「無資格」者のかたのモチベーションがあがらないとのお嘆きも、聞こえてきます。
 ここでのひとつの問題は、相手から見える世界(主観的な世界ですね)が理解できないことです。つまり資格のある方は、資格がなく補助的な仕事をしている人の思いを知りません。逆も同様です。こうして互いに理解できないと、相手の話を聞く気にもなりません。影響力が下がってしまいます。もちろん、すぐれたリーダーは、相手を理解し、相手の心をつかみます。ただ、いつもこうはうまくいかないようですね。
 いただいたコメントには、コメントをお返ししましたが、触発され、こちらにも記します。影響力の発揮を妨げる大きな原因に、個人的な願望に気づかず、振り回されることがあります。よく見られるのは、仕事でいい成果をあげよう、と言っている上司が、実は自分が社内で認められることを第一義に置いている、などです。よい仕事よりも、自分が認められることが上まわっている、というわけです。このような願望は誰にでもありますし、それを意識している限り問題だとは思えません。問題なのは、本人が気づいていないとき。これは、大いに相手を混乱させます。
 ひょっとしたら、このようなことがおこっていないかどうか、資格のある先生としては、まず考えてみる価値があるでしょう。自分は、本当に仕事の結果のためだけにやっているのかどうか。

2008/06/17

有資格と無資格


 私のまわりには、ビジネススクールやロースクールに通っている友人が数名います。大学院に通うということは、他の多くのことを犠牲にしているのですから、そのリスクテークの姿勢に感心します。そうまでして得られるものには、学位、知識、ネットワークなどがあり、失うものと天秤にかけて傾いた方に動いているといえますね。
 さて、そのようにして、弁護士やMBAになって職場をみてみると、他のメンバーの多くは輝くような資格を持っているわけではありません。そしてそうした多くの仲間たちは、高度なプロフェッショナルのアシスタントをしているかもしれません。そのような彼らを想像してみると、なかには「先生」より一段低く自分を評価している方もいるでしょう。「どうせ私は、先生のアシスタントだ」と思っているのです。彼らのモチベーションを高めるのは、容易ではありません。実はちょうどそのようなお話しを聞いたところだったのです。
 さて、みなさんどう考えられるでしょうか?
 私が観察してきたところ、これは「先生」の態度次第というところがあるような気がします。先生によっては、アシスタントのメンバーがいきいきと働いており、先生によってはやる気をなくしている。この違いは、影響力の法則で説明できるのではないかな。ちょっと考えてみましょう。うーん。
(写真は、あやしい先生たちです)

2008/06/16

影響力とキャリア

 キャリア開発は、どなたでも多かれ少なかれ関心のあるところでしょう。
 今日、とある大手メーカーさんの人材開発部門に、キャリア開発研修を提案させていただきました。私の会社(インフルエンス・テクノロジーLLC.)の提案は、参加者がキャリアを仕事の経験、能力の蓄積のみならず、人間関係の発展で見ていこうというものです。
 これは言い換えると、影響力の法則で、キャリア開発を考えてみようというようなものです。
 若いときは、上司や先輩の指示や指導のもと経験を積んでいくのが、よく見られる能力開発の過程です。この方法は経験が少ないものが新しいことを学ぶ、効率的な一方法とみることができます。しかし、若者からすれば、自分よりも優秀でもやる気があるわけでもない年長者のご意見など、聞く気になれなかったりする。能力開発も容易ではありません。
 そこで、カレンシーの交換でこのような能力開発課程を検討しましょう。上司の指示のもと仕事をし結果を出すのは、実は上司にとって大きなカレンシーとなっています。「いうことを聞く×自分が求める結果が出る」だからです。このくり返しにレシプロシティが働き、上司に「いつかこいつのために機会を与えよう」などと思わせているのだと考えられます。そう思わせた部下が、新しい経験や昇進の機会などを得られるというわけです。ですから、指示や指導にしたがって努力することには、少なからず価値があるのです。今日何名かの方に、キャリアの中での大きなできごとをうかがったところ、上司や先輩からしごかれたり、厳しくしつけられたこと、があげられました。キャリアの発達に、カレンシーの交換の視点は欠かせないと思います。
 もっとも、すべての上司に同じようにレシプロシティが働かないところが、悩ましいところ。上司の中には「教えてやっている」と思う人もいますから。その場合、部下はなるべく早くカレンシーを返す。たとえば、教わったら即座に心からお礼を述べる、などが必要ですね。

2008/06/15

やっかいな上司

 上司が暴走する。長いキャリアの中では、一度ならず経験されることでしょう。先日も、急いで止めなければ、と深刻な相談を受けました。
 影響力の法則で考えますと、まずは上司に聴く耳をもたせることが欠かせません。そのためにも、上司がこちらが上司の味方である、と感じなければなりません。望ましいのは、日頃からそのような信頼関係を築いていること。しかし、このような場面、しばしばそのような信頼関係がないために引き起こされます。コミュニケーションをとっていれば、最初から暴走しないでしょうから。ここは、ことばと態度で、誠意をつくし、これはあなたのためにならない、あなたのためには、こうしたほうがいい、と伝えること。
 ベストをつくし、後悔しないことを目標にされてはどうでしょうか。