2010/03/05

インビクタス  負けざるものたち 

 モーガン・フリーマン、マット・デイモン主演。クリント・イーストウッド作品「インビクタス 負けざるものたち」。

 ネルソン・マンデラが大統領になって、しかしまだ統治し切れていないとき。ラグビーのワールドカップに国民の心を結集させる。大統領とチームの主将による、この大きなチャレンジに向けた闘い。

 いくつも印象的なシーンが。そのうちの一つは、個々人にいつも以上の力を発揮させるには、魂を鼓舞する者がなければならない。二つ目は、恨みを晴らすようなことをしては、負ける。恨みを乗り越えることこそ勝利だ。

 まさに「影響力の法則」なんですよ〜。私はこういう話しが大好きで、興奮してしまいます。

 昨年観たイーストウッドの「グラン・トリノ」より格段によかったな。また見に行っちゃいそうです。

沖縄の声が聞こえてこない

 普天間基地の移設問題は、いよいよ大詰めに近づいているようです。この一連のできごとからは、いろいろと学ばせてもらいました。

 1 ステークホルダーの利害が錯綜すると、意思決定は難しくなる。〜今回初めて県外移設(国外)を公約(示唆)して発足した内閣です。言い換えると基地反対派が投票した人たちが支持している内閣ですね。こうなると、簡単には「やはり、計画通りに」と言えないのは無理からぬことです。意思決定は、システムで決まるというのがよくわかります。

 2 意見が割れているときに、黙って様子を見ていても、事態はよくならない。これは、グループプロセスや意思決定の定説だと思うのですが。時間ばかりかけて、諮問機関に一任しているというのは、悪い意思決定の見本のようなものです。そうこういているうちに、沖縄県議会までが満場一致で、つまり自民党も含めて県外移設を決議してしまいました。決定後に、大きな傷を残さなければいいのですが。

 3 沖縄県以外おほとんどの国民は、蚊帳の外におかれており、外にいると思えば冷ややかになる。正直言って、日々の忙しさにかまけて、ほとんど忘れていました。いや、大事なことだとは思っていたんですが、気がついたら「鳩山さんがいい決断をするだろう」「いや無理だろう」と、トップに責任を押しつけて、評論家になっている自分に気づきました。安全保障について考えるいい機会なのに、放置してきてしまった・・・。

 私は、沖縄にアメリカ軍が長々と駐留していることのぜひを、賛成派、反対派の本音を徹底的に聞いてみたいものです。特に反対派の感じている現実は、そこに住んでいなければわからないでしょう。近所だと神奈川の大和あたりでも戦闘機が飛ぶと首をすくめてしまうような音。東名を高速で走っていても、轟音が聞こえることもあります。そういう環境問題だけ考えても大変な負担だと思います。それだけでなく、安全、プライド、雇用など、いろいろな角度から現実をどうとらえておられるのか。双方の意見を徹底的に明るみに出して、みんなで議論に加わって、その上で決めるのであれば、国民の納得度も上がるというものです。投票率も上がるだろうな。でも、沖縄の声はあまり聞こえてきませんね。触れているメディアが悪いのか、自分がよく読んでいないのか・・・。
 今からでも参加して、納得するだけの情報を集めたいと思います。

2010/03/04

面接官は、応募者の何を見ているか?

 学生に尋ねてみました。面接官は何をみていると思うかと。とても優秀な学生です。レポートもとてもよかった。

 その学生から、自分を表現できるかどうかを見ているのでは、との回答。

 若いっていいな。でも社会経験のある方なら、そうじゃないよ、と思うでしょう。自分の立場を理解できるかどうかが、もっとも問われていますよね。相手を理解できる人は、味方が増える。だからどんどん仕事ができるようになる。

 学生諸君。まずは、面接官の置かれている立場を考えましょう。面接官の課題は、「こいつはいい」と直感したときに、その裏付けが得られるかどうかです。裏付けがあれば、「なんであんなやつ採ったんだ!」といわれたときに、「いや、あいつは必ずやります」と言い返せます。裏付けの一つは、適性検査ですね。それ以外には、苦難を乗り越えた経験談とか一般的です。

 土下座はどうでしょう。「この会社で、お客様のために仕事させて下さい」と。私が面接官だったら、こいつはやるに違いないと感じるかもしれません。あとで上司に「あいつは突然土下座したんです。本当にやるような気がします。私が請け合います」とか、報告しちゃうかもね。

 これは、大きなカレンシーだと思いますよ。

2010/03/02

オリンピック 佐藤有香の働きにメダルをあげたい

 佐藤有香さんは、今回のオリンピックでアメリカ代表のジェレミー・アボット選手のコーチとしてバンクーバーオリンピックに臨みました。佐藤さんご自身、元オリンピック選手。現在はペアを組んだアメリカ人選手と結婚しミシガンに住んでいるそうです。聞くところによると、アボットが佐藤にコーチを依頼したとか。結果は1年弱たらずの間にアメリカ選手権優勝、今回のオリンピックでは9位と活躍。日本代表小塚選手の佐藤コーチとの父娘対決でも注目されました。

 今回のオリンピックで印象的だったのは、日本選手の多くが世界のコーチについて、指導を受けてきたということ。浅田のタラソワ、織田のモロゾフ、上村にもフィンランド人のヤンネ・ラハテラがいたんですね。外国コーチばかりじゃないですか!外国から教えてもらうばかり、という構図が感じられて、オリンピック中少々残念な気がしていました。そんななか、佐藤さんがアメリカのトップレベルの選手を指導したのは、大いに価値があると思うのです。

 もちろん、日本人が世界中で人材育成に貢献してきたことは誇ってよいと思います。ただ、その多くはトヨタやホンダが、日本式の品質管理とか顧客サービスを教育してきたということ。もちろん、世界のトップ大学で教鞭を執る日本人教授や、グローバル企業の経営に携わっている日本人がいることは知っていますが、まだまだ少数派ですよね。日本式を教えるなら強みを発揮できても、世界標準を教えるとなるととたんに弱くなってしまう。フィギュアスケートという競技で海外の人材を育成している佐藤さんの貢献は、刮目に値するといったいいのではないでしょうか。

 こうして、高度な情報が相互に交換されると、より高いレベルに近づけると思いますよ。

2010/03/01

思いきって、仲の悪い人と仕事しよう

 枕元で日経ビジネス(3月1日号)読んでいたら、「日本が環境技術で進んでいるというのは、幻想です」との三菱重工福江副社長のコメントから始まる記事が。UNEPによると、環境技術への投資額は、欧州400億ドル超、中国300億ドル超、アメリカ160億ドルにたいして、日本は中東アフリカの半分に過ぎない8億7000万ドル。欧州の2%!!に過ぎません!!あらためて現実を突きつけられると、愕然とします。
 さらに記事では、日本の環境ビジネスの凋落ぶりがこれでもかと書かれており、編集者の危機感が伝わる内容と感じます。

 ここで思うのは、日本が独自技術にこだわり、オーバークオリティとも言えるスペックの製品をつくって、世界をリードしちゃうのが、ホントにいいのかということ。身内と侃々諤々やって、高度な悟りの世界に至って、しかし悟りにまでは至らない人たちがついてこられない、ケータイなどで言われるいわゆる「ガラパゴス」にしてしまうのがいいのか!これこそ、慢心と言うのではないでしょうか。

 そもそも身内で仕事するから、多様性をいかせない。わかる人たちの論理に収斂してしまうのが、問題の根元にあるのでは?慣れ親しんだ人の考えは、思考の幅を狭めるでしょう?

 そこで、思いきって仲の悪い、あるいは仲良くなれそうもない人と組んで、仕事するように意識してみるのはどうか?新しい知識や、思わぬ発見が得られるかもしれません。ただし、人間関係を拡げるのはリスクもありますね。そんなときこそ「味方になる」と思わなければやっていけない。刺激的になるでしょうね!

2010/02/28

「消費」のパラダイムでは、わからないことがあるにちがいない

 20世紀後半、人々の相互依存が進むにつれて、キャリアにおける生産と消費のバランスは激変したにちがいありません。つまり、「自分でつくるよりも、買った方がいい」部分が劇的に増えたと。例えば、食事するのに、材料は農業や漁業を営む人が生産した素材を、スーパーマーケットなどで買ってきて調理します。加えて、外食、中食の機会も少なくないですね。

 どうやら、このことがだめにした職業があります。エヴァン・I・シュワルツ「発明家たちの思考回路 奇抜なアイデアを生み出す技術」(ランダムハウス講談社)によると、1941年の国勢調査から「発明家」という職業は削除されたのだそうです。

 この本のプロローグにいわく「消費者の立場で考えるのをしばらくやめなくてはいけない」。ほしいかほしくないかで考える、人から認められるかどうかで判断する、などを排除し、ものごとの見えない本質を探究することこそ、発明家のスタートなのだそうです。私たち、売れるか売れないかで考えちゃいますからね。心に引っかかることを探求すると、新たな価値が生めるのかも知れない。そんな気がしています。