2011/05/08

松下氏の警世

 関西では関東と異なるテレビ番組になっているようです。7日朝5:15からNHK「関西想い出シアター」では、松下幸之助氏の「警世」を放映しました。1975年の番組。当時80歳の松下氏が、政治経済の状況を憂い、インタビューに応えていました。
 いわく、いよいよ経済が行き詰まり、もはや経済活動だけで回復することは困難である。民間ではできないような国家レベルの事業に国が先行投資すべきだ(ただし赤字国債はだめ)。政治も経済も行き詰まっているのは、その病根がわからないからである。日本は戦後、日本は実力で再興したと思っているが、実際は外国の援助があったからこそだ。本来敗戦で罰せられるべきところを助けられ、甘えてしまった。それゆえに、精神的にバラバラである。戦後30年たってようやく精神的に敗北を味わっているのだろう。今こそ、精神的な復興を遂げなければならない・・・。といった内容でした。

 もし、問題の病根をつかんでいなければ、自主的な解決は覚束ないでしょう。そのときからさらに35年。今も同じ病根を抱えているのなら、なんら解決することなく病はいよいよ深刻と言えます。私もそうですが、人はなかなか弱みと向き合うのが難しい。その前に、ドラッグストアで鎮痛剤を買ってきてしまう。組織であれば、自分だけでなく部下にも問題に向き合わせなければなりません。また、このようなときだからこそ向き合わなければならない現実もあります。

 関西ではおもしろい番組やっていますね。東京では観られないのかな。

京都、奈良

 2泊3日で京都、奈良を訪れ、先ほどかえったところ。年々神頼みの部分が増えてきて、寺やら教会やらのご厄介になっています。今回は、興福寺と春日大社、いつもの東寺を参詣しました。興福寺では白鳳、天平時代からその後の仏教文化への繋がりを、春日大社には自然への畏敬を感じました。東寺では、講堂立体曼荼羅の大日如来にしびれました。もちろん、この季節、東山、春日山の緑が美しく、訪ねてよかったなあとしみじみ思いました。

 帰り際に京都国立博物館、法然展を参観。法然をよく存じなかったものの、浄土教の開祖、さすがに素晴らしい。平安時代までは宗教は貴族のためのものであり、庶民のものではなかったですよね。それが、念仏を唱えるだけで誰でもすくわれる、漁師でも遊女でもすくわれる、となります。やはり宗教はすくわれない人に寄り添ってきたものだと思います。これは宗教だけでなく、ビジネスや政治でも同じではないでしょうか。すくわれない人に向き合っていくことが歴史を拓いてきたのだろう、と思いました。
 一方、親鸞を始め優れた弟子を得たのも、法然上人の功績と思います。弟子に恵まれる人は偉すぎず、小難しいことをいわない。キリストもそうですよね。自分が伝えたいことを本当に伝えたければ、一代ですむはずがない、次世代までつながらなければならないでしょう。すなわち弟子がいてこそ、その人の教えは本物なのでしょうね。

 今回は、GWというのにクルマで行っちゃいましたが、行きも帰りも渋滞なし。中央道から名神高速を経て大津でおりたところ、初めて高速料金1000円で行けました。不要不急の自家用車利用は避けろというお達しだったのに、途中親族を訪ねることもあり、こうなった次第。ともかく、1000円の高速道路は最初で最後となりそうです。