2011/05/22

勝てるチームと負けてるチーム

 数年ぶりで神宮へ。東京六大学野球 立教対東大戦を同窓の盟友と観戦しました。もちろん立教を応援。結果は事前の予想通り、5-0で立教の勝利となりました。
 試合前の練習では、立教の選手がピッとボールを投げるのに対して、東大の選手は山なり。ボードを見ると他の私学並みに近年野球枠を入学させている立教は、PL学園、横浜、大阪桐蔭と甲子園の常連校出身者がいるのに、東大は麻布、灘、武蔵など。差があるよなー。そう思うと東大の選手の方が小柄に見えます。「大差で立教だな」と思ってしまいます。

 ところが試合が始まってみると東大の方がいい当たりは出ているし、安打数も8本ぐらい打ち遜色なし。何度も得点のチャンスがありました。投手も急速こそ120キロぐらいでしたが、立教のクリーンナップから三振を奪うなど好投。中盤までは投手戦の様相だったんですよ。守備では併殺も連発して全く遜色なし。3点ぐらいとっていても不思議はない。しかし1点もとれずに完敗です。おかげで立教に優勝の可能性を残しました。

 なぜでしょう。残念ながら東大の選手は、今一歩のところで決め手を欠いており、チャンスに点がとれない。逆に、投手も最後に粘りきれず、長打を浴びてしまう。この最後の精神力のようなものが全く違う。ピンチに追い込まれるほどに集中力を高める立教の選手にたいして、東大の選手が追い込まれると最後にはどこか他人事になってしまうのが、とても印象的でした。三振をとった投手自身が驚いちゃっているんじゃあね。ですから立教サイドはピンチになっても点を取られる気がしないし、負ける気がしない。逆に3塁側は最初から勝てる気がしなかったでしょうね。じわじわと点差が開き、結局立教の大勝に。

 それが組織の差だなあ、と感じました。勝つチームは最初から勝っていますね。たぶんグラウンドに出た時点で「勝っている」と感じている。古田敦也もいっていたとおり「優勝したときは、試合前に勝つ気がしていた」という感覚でしょう。チームはその感覚をつかまなければ、本当のチームにはなりません。ビジネスで考えれば、「売れない」「競争力がない」と思っていたら、最初から売れません。そういう時はどこか他人事になってしまう。どうやって、勝つチームの感覚を味わわせるか。ここがリーダーの仕事でしょう。
 それはやはりフィードバックだと思います。フィードバックとは、本来システム用語で当事者に関する情報を戻すことです。この場合、「勝つ」感覚を強化することといっていいでしょう。ロンメル将軍は小さな戦勝を積み重ねたそうです。NYヤンキースは、常勝集団であることを徹底的に教育するとききました。いずれにしても優れたフィードバックが必要ですね。「遠慮」や「謙遜」に拮抗するフィードバック。影響力の法則では、このようなフィードバックが重要なカレンシーである、と定義しています。私たちの組織を本当のチームにするのに、どんなフィードバックが有効でしょうか。ほめる?機会を与える?対外試合をさせる?いろいろな方法があると思います。

 さて、こうして野球は立教の勝利となり、優勝に望みをつなぎました。選手の健闘をたたえたい。東大もよくやった。これが別の領域だったら、東大が圧勝することもあったでしょうね。ああ、面白かった!