2009/07/09

お世話になったお店

 池袋時代、「マダム・シルク」ほどお世話になったお店はありません。ほぼ毎日そこにいました。なのに、ここしばらくなかなかうかがえず、残念だったのですが・・・

 私の授業の前の時間を担当している若い社会学者の先生が、私と同窓で、「マダム・シルク!知ってますよ」と、ふたりで盛り上がりました。学生が入れ替わりする休み時間の演壇の上で。それで、ああ、いってみたいな、と、この1週間で結局2回うかがいました。

 学生時代のことを思い出すと、いかにおもしろい話をして大人に飲ませてもらえるか、がひとつのチャレンジでしたね。学生はこう考えている、自分はこう思う、といった話で、半日過ごす。それで、ほとんど支払わずにお酒が飲める、なんてカレンシーの交換は、学生だったからこそ。

 考えてみると、もうちょっと頻繁に通って、今度は若者の話を楽しませてもらって、恩返ししなければいけないよな。

 というわけで、また近くうかがうことにしました。

 やっぱり、頭の中がデフラグできる、理屈抜きでめちゃくちゃいい店です。

2009/07/06

うれしい知らせ

 今日また学生から就職内定の知らせが届きました。

 うれしかったのは、この学生が、就職活動を通じて社会人への尊敬が増した、多くの人の支えを感じられた、と述べている点です。特に、人の支えを感じられたから、少しでもまわりの人の役に立ちたい、と書かれていて、涙が出るほどうれしかった。

 私たち、学んできた知識も、食物を食べて成り立たせているこの体も、外から入ってきたものでできているのですから、公共物といっていい。公共物を占有することなく、みんなで使うのは、正しい思考です。

 自分自身こそ最大のカレンシーです。自分を生かせるかどうかは、これから人々との間の信頼関係を築けるかどうかです。人が安心して使ってくれなければなりませんから。

 この学生も、良い社会人となるでしょう。

2009/07/05

安息日


 ユダヤ教徒のみなさんには、安息日があると聞いています。聞いています、というのは、彼らが本当に忠実に安息日を送っているところを見たことがないので・・・私の知るユダヤ教徒のおふたりも、日曜日にメールが返ってきます。

 それはともかく今日は休ませてもらうことにしました。まず、早朝成田山の護摩修行にお参りし、そのあとはひたすら脱力。TSUTAYAでコメディを借りてきて2本観ました。そのうちのひとつは、"Analyze this"。マフィアの親分が抑鬱症で意思決定ができなくなり、精神分析医にかかるというもの。10年ぐらい前の作品でしょう。以前観た記憶があります。全編笑えますが、イタリア人たちのなかで、分析医だけがユダヤ人だというのが、ステレオタイプですね。(私もニューヨークでユダヤ人の著名なセラピストの方にカウンセリングを教わったことがあります)

 この最後のシーンが印象的。投獄されている親分から、そのお返しに至れり尽くせりのサービスがある。たとえば、バンドが家に来ている。生のバンドで新婚の精神分析医夫婦は踊るのです。バンドリーダーのひとこと「彼から何でもやってくれと頼まれていますから」。

 いやー、これは大きなカレンシー。受け取れば、マフィアファミリーとの絆を深めることになる。断れば「俺の酒が飲めないのか」状態。どちらもリスクを伴います。

 どうしたものか・・・。悩ましいですね。

 しかし、ここは腹をくくるしかないでしょう。どちらにせよ、血を流さずに解決できることなどないんです。受けてももちろん、仮に断ったとしてもカレンシーが交換されるというわけです。人生にはそういう時期があるんだと、年々痛感します。

 結局日本人の私に安息日はなかった、というわけです。

(写真は成田山参道、正門前でみつけた、インド料理店の看板(緑色部分)。インド人はこんなにしたたか。)