2010/01/31

大人の姿勢〜キャリア教育について

 NHKニュースによると、文部科学省は社会人としての素養を大学で学ばせるよう、大学側に求めるのだそうです。就職した会社をすぐに辞めてしまう若者が多いための対応と報道されました。(残念ながら文科省のサイトを見てもどこにあるかわからない、議事録などがもっと早く見られると、ニュースの後にすぐ見られるのですが)

 私は大学でキャリア教育を担当させていただいており、複雑な気持ちでこの報道を見ました。こうして役所からの求めがあれば大学は積極的に対応するでしょう。しかし、仕事が続かない若者が増えていることへの対応を大学側にばかり求めるのが妥当とは思えません。
 企業が以前よりも人材育成に力を注がなくなっていることは、周知の通り。企業側も余裕がなくなっているのです。終身雇用は崩れていますし。それは仕方ないにしても、現場の人材マネジメントの問題も認める必要があるのではないでしょうか。私の知っている日本の現場の問題は「親身に指導する、ただしその方法にばらつきがあって、苦労する部下がいた」でした。でも今は放置ですからね、冷たい。「自己責任」とか言われて、何もできない上司の犠牲になっている。だから辞めるんじゃないんですか。それも「冷たくされたから」ではなく、「こんな大人の世界がばかばかしいから」なんじゃないかな。
 若者たちは、大人が裸の王様だって見抜いています。

 大学にキャリア教育を、というのは結構ですが、一方で大人がキャリアの姿勢を示さなければ、教育するほどに現実とのギャップは拡大、ますます大人の世界がばかばかしくなってしまうよね。「今の大学生は少子化の中で大事に育てられ、自ら人生を切り開くことができない学生が多いと感じる。大学側は単に就職活動の支援をするのではなく、学生に生き様を考えさせるような指導をする必要がある」との黒田壽二氏(中教審委員 金沢工業大学総長 NHKニュースより引用)のコメントに賛成。それだけに問われているのは、大人の姿勢だと思います。

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