2008/07/07

ビジョンを語る

 リーダーが示す明快なビジョンは、メンバーにとって価値あるカレンシーになります。
 ある組織のチームリーダーの方と、「うーん、やはりビジョンが不足していますね」というお話しになりました。メンバーのモチベーションが下がってしまうのは、ビジョン不足に原因があるだろうと。まずはこの点に気づかれたのはよかった。これからビジョンでモチベーションを高められる、そのスタートラインにたてました。
 ところが、カレンシーの交換で考えると、それが簡単ではありません。モチベーションが下がっている。これはリーダーから見ると、ネガティブなカレンシーです。メンバーがこのようなネガティブカレンシーを示すということは、実はリーダーがその以前からネガティブカレンシーをメンバーに渡してきた可能性があるのです。その結果、レシプロシティが働いて、メンバーがモチベーションを下げているのかもしれない。お話しをうかがいながら、このケース、きっとそれに違いない、と直観しました。
 リーダーがメンバーに渡してきたネガティブなカレンシーとは、何だったのか。私はおそらく長らくビジョンを示さなかったことだと思います。リーダーにビジョンを示してほしい。その期待を、長い間リーダーが裏切ってきたら、これは期待を裏切るという意味でネガティブなカレンシーとなってしまいます。それで、相手は「こちらも期待には応えないよ」という態度をとってくるというわけです。
 知らず知らずのうちに、期待を裏切っている相手はいませんか。思い当たれば、お返しする時期ですよ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。影響力の法則って何だろうと思って、読み始めました。リーダーのビジョン不足が、ネガティブなカレンシーだというのには、ハッとしました。確かに、マネージャーなのに向かう姿を描いてくれないと、メンバーとしてはがっかりします。それって、ネガティブなカレンシーをもらったと感じるのだと。そういう見方をすると、「足りない」のは、マイナスの何かをもらったのと同じだということなんですよね。ぎくしゃくした関係になる裏側が、何となく分かるような気がしました。ちょっと目からウロコ、でした。