2011/06/05

カーナビ

 私は新卒で自動車業界に飛び込んで以来、目的地に行く前に地図を頭にたたき込み、あとはイメージに従ってドライブする、という方法で二十数年やってきました。でもとうとう、初めてのカーナビ、正式にはPNDと呼ばれるアメリカの軽便カーナビを購入しました。Garmin社のnuviと呼ばれるこの機種は、2万円少々で手に入る他より安価なものですが、海外でも使える優れもの。毎日どこを走行したか、その軌跡を記録でき、これをクラウドに残しておける(はず)。歩行でも使えますから、旅行でも活躍してくれると期待したわけです。

 カーナビを使ってみると、やはり運転スタイルは変わりました。まず地図を見なくなった。行く先でナビが教えてくれるでしょう?それから、いちいち右へ、左へとナビの指示を聞くことになりました。自分が慣れたルート以外を指示してくることもあるのです。違和感を感じながら、思い切って機械のいわれるがままになってみる。と、自分で考え判断しなくなりますね。こうして、生活は効率化が進んでいくのでしょうが、実はナビを使うと運転が楽しくないんですよね。なぜなんでしょうか?これは私だけですか?

 考えられる理由。人の言いなりになるのが好きじゃないから、考えて判断する一種のゲームが楽しみだった・・・。これ、優秀な部下が来ると部下の話を聞かなければならない上司のジレンマに近いなあ。研修の参加者で部下や後輩の話など聞きたくない、という人多いんですよね。自分が専門家でいたいということです。私の仕事のうえでの役割は、部下や後輩を抱えているのに、自分一人で何とかするのをあきらめさせること。言い換えれば、上司としての役割を受け入れて、覚悟を決めさせることです。でも、専門家として成功してきた人ほど、手放せないものです。たとえば、トップセールスマンだった人が、部下がみんな自分より劣っていることにいらいらして、自分が先頭に立って売り歩く。結果部下が育たない、のような話です。多いと思いますよ。現実には、レシプロシティの原則通り、部下の話を聞いた方が部下は上司のいうことを聴くものです。聞いてもらった、という感覚がカレンシーになるからです。

 しばらくナビは試行錯誤です。とにかく優秀で、数メートル範囲の誤差しかないし、速度も正確。ゼンリンの地図も信頼できる。大いに気に入っています。一方ナビが具合悪いのは、こちらがナビの指示に従っても決して感謝しないことでしょう。いざとなったら無視、という戦術を学ぶまでいらいらしそう。ナビ程度かそれ以下の部下を持つ上司には同情します。どうか「影響力の法則ー現代組織を生き抜くバイブル」第9章をお読みください。

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